1等賞金額相当の貯蓄がない人は宝くじを買わない方がよい

「1等賞金額の貯蓄がない人は宝くじを買わない方がよい。」と言うと「何を言っているんだ。貯蓄がないからこそ一獲千金を夢見て宝くじを買うんじゃないか。」という声が聞こえてきそうです。

宝くじは夢を買う?


 「1等賞金額の貯蓄がない人は宝くじを買わない方がよい。」と言うと「何を言っているんだ。貯蓄がないからこそ一獲千金を夢見て宝くじを買うんじゃないか。」という声が聞こえてきそうです。

 宝くじの醍醐味は買ってから当選番号の抽選日まで、「もし○億円当たったら家を新築しよう、高級外車を買おう、世界一周旅行に行こう…」などと夢を見られることかもしれません。


高額当選後の”現実”を想像できますか?


 幸運にも1等○億円が当選したら喜びの興奮は最高潮に達するでしょう。しかし、問題はその後です。夢ではなく現実に起こった場合、次のことをできるかどうか考えてみてください。



(1) 秘密が守れるか


 自分の喜びを分かち合いたいと周囲の人にむやみに高額当選の事実を知らせてはいけません。次々と資金援助の依頼、おごってほしいとか、投資の勧誘、商品の売り込み、寄附のお願いなどが押し寄せてくるでしょう。これらの申し出に合理的な基準を持って対処できるでしょうか。

 たとえできたとしても、世間は様々な評価をします。精神的に辛い状況になる可能性もあります。また、家族に迷惑をかけることになるかもしれません。こうしたことを避けるには信頼のおける家族・親族以外には秘密にしなければなりません。

(2) 当選前と同じ生活が送れるか


 高額賞金があるからといっていきなり家を新築したり、高級外車を買ったり、世界一周旅行に行ったりしてはいけません。宝くじに当たったことがわかってしまい、(1) と同じ状況になるでしょう。

 生活が派手になっても同じです。周囲に気づかれないように多少贅沢はできるでしょうが、歯止めをかけることができるでしょうか。金銭感覚がゆるむと高額賞金でもやがて底をついてしまいます。ギャンブルにはまってしまうリスクにも注意が必要です

(3) 当選前と同じように働けるか


 会社員の一生分の給料に相当する賞金を手にしたら、会社を辞めようと思う人もいるかもしれません。では会社を辞めて何をするか決めていますか。何も考えていないといきなり事業を始めることは難しいと思います。定年間近の人はいいですが、若い人は何十年も遊んで暮らすこともできません。会社を辞めなくても○億円の賞金と数十万円の給料を比べて今までどおり仕事に打ち込むことができるでしょうか。

(4) 賞金の運用ができるか


 数百万円以下の貯蓄しかなくて、預貯金以外の投資をしたことがない場合、いきなり○億円を手にしてもどのように運用していいかわからないのではないでしょうか。わからないまま、あるいは少々損をしても大丈夫とハイリスクな投資をすると元金を大きく減らしてしまうかもしれません



1等賞金額の貯蓄がある人


 1等賞金額の貯蓄がある人はもし1等が当たったら貯蓄額が2倍になります。1等賞金が1億円なら、貯蓄額1億円が2億円になるということです。この場合、興奮はするでしょうが、落ち着いて有効な使い道や運用ができるのではないでしょうか。

 1億円の貯蓄を築いてきた人はおそらく堅実な生活をして投資もしてきたであろうし、仕事も続けてきていると思います。貯蓄が2億円になっても同じペースを続けていけるでしょう。そもそも宝くじを買いたいと思わないのかもしれません。

1等賞金額の貯蓄がない人


 1等賞金額の貯蓄がない人は、上記の「高額当選後の現実を想像できますか?」の(1)~(4)の現実にうまく対応できるかよく考えてみましょう。現実に対応できなければせっかくの高額当選も幸運をもたらすことになりません。

 もし自信がないようでしたら宝くじの購入を控えることをお勧めします。宝くじの購入額を貯蓄に回して投資の勉強・実践をしつつ、1等賞金額の貯蓄を目指す方が充実した人生になる可能性が高いのではないでしょうか。(執筆者:犬山 忠宏)

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