梅雨時期の2大病「喘息」と「憂鬱」を軽減させる簡単な方法

 6月の梅雨時と9月の台風や長雨の時期は、低気圧の影響により酸素が取りにくくなるため、「喘息」や「憂鬱」の症状が悪化しやすくなります。どのように喘息や憂鬱の症状を軽減することが出来るのでしょうか?今日から簡単に出来ることを東京造形大学元教授・佐藤先生が解説してくださいます。

梅雨の時期に喘息や憂鬱の症状が現れるワケ


 初夏の日差し降り注ぐ素晴らしい5月が過ぎると、北海道を除く日本列島の殆どが、梅雨を体験します。

 極暑極寒の季節は人体の諸機能と気温の調和が不適切となり、突然死や心臓病・脳血管疾患を引き起こしますが、それに次いで体調不良の人が多くなるのが梅雨の季節です。

 この時期、雨が降りそうな時のツバメは空中低く飛び交いますが、それは空中の酸素が薄くなり地面近くまで降りて来た、無数の虫達を餌として追いかけるからです。

 小さな虫達さえも酸素を求めて低空飛行をするぐらい、梅雨時期には空気圧が低下しているのです。

 人間の命は、「魂・心・体」の三位一体で成り立っていますが、「体の健康」に関しては、細胞の全てを生かす意味で、酸素(O2)が最も大切な構成分子です。

 ところが、低気圧の時には、酸素が取りにくくなります。

 また、日本独特の高温多湿に皮膚感覚や毛細神経が反応して、体のだるさや古傷の疼きを感じてしまうのです。

 これがゆえに、6月の梅雨時と9月の台風や長雨の時期は「喘息」や「憂鬱」の症状が悪化するのです。

 では、これらの症状を軽減するにはどうしたらよいのか?本日は考えてまいりましょう。

喘息などで肺が機能不全だと辛くなる理由は?


 日本では、近年肺炎が死亡率の第三位になりました。

 第一位は悪性新生物(癌)ですが、その中でも肺がんは最も苦しい病気です。

 何故なら他の癌は、痛み止めやモルヒネの投与などで痛みを取り除けますが、肺がんや肺炎や喘息は「呼吸が困難」になり、一呼吸一呼吸が大変苦しいからです。

 肺と気道は、細胞の働きと再生に大切な酸素を注入し、二酸化炭素などの代謝物を排出します。

 細胞を活性化する再生作用と、毒素になる物質の排泄作用の大きな役割を果たす優れものが、機能不全を起こすわけですから、辛くないわけがありません。

 喘息も同様に、肺が酸素を十分に取り込めないゆえに、非常につらい思いをする症状です。

体内に酸素を入れる朝の深呼吸と食事の重要性


 喘息などを軽減するためには、まず肺や呼吸器系の強化が必要です。

 肺に十分酸素を取り込めていない人は、胸を縮めて浅い呼吸になっていますから、深呼吸を日常生活に取り入れる必要があります。

 特に効果的なのが、朝の深呼吸です。

 朝、目覚めたら、うっとうしい日でも両手を握って伸びをして大あくびをします。

 窓を開けて、部屋に新鮮な空気を入れ、両手の親指の付け根を斜め前方に突き出して、空気を目いっぱい吸い込みましょう。

 そこは、肺経というツボの出発点になっていて、他の指を意識するより空気が肺に入りやすいのです。

 更に、梅雨時でジメジメしていても、朝起きたら窓を開けて、綺麗な空気を部屋に入れることを心がけましょう。

 また、食生活としては、玄海山菜(玄米・海のもの・山のもの・野菜果物)を中心に、体のPHをアルカリにします。

 朝は、ナチュラルミネラルウォーターをコップ一杯飲み、薄塩の梅干1個を食べ、酸化した体液をアルカリ化します。

 呼吸器感染症や喘息は組織の過酸性に関係があり、アルカリ性にするだけで治ることがあります。

梅雨時期の憂鬱は除去出来なくても軽減は可能


 梅雨時に起きやすい、もう一つの身体的な悩みに「憂鬱」があります。

 ジメジメした空気を体中の皮膚細胞が感知し、病気ではないが何となく体具合が優れない状態を「不定楚訴」と言います。

 この状態が長期間続くと、誰しも精神的に非活動的になります。

 心身一如と言うように、心が晴れると体の調子が良くなり、体が元気だと心が活発になります。

 この時期特有の気候による憂鬱を感じる場合、完全にこれを除去するのは困難ですが、「気の持ちよう」によって半減させることは可能です。

梅雨時期の憂鬱を自助努力で半減させる方法


 アメリカの研究では「うつ病」患者のうち、30%~40%がプラシーボ(偽薬)を利用することにより、「うつ症状改善に効果があった」という結果が出ています。

 梅雨時の憂鬱感も、ある種の「安心感」や「期待感」を自ら持つことによって、半減させることが出来ます。

 例えば、「雨ばかり降ってムカつくなぁ」といつも思っているのなら、梅雨が永久的なものではなく、猛暑の時の給水としてダムの貯水に貢献すること、草木や農作物に恵みの雨をもたらすこと、などに目を向けることが、ある種の偽薬効果をもたらすのです。

 また、気分転換を兼ねて外へ出ることは極めて有効であり、欧米では医療にも導入されています。
 
 フィトンチッド(森林の香り)は人体の殺菌作用と、精神的な安定をもたらすとして、ドイツでは病院の近くの森を患者さんが乗った車椅子を、看護婦さんが押して散歩に連れて行くくらいなのです。

 梅雨の合間には、ぜひ緑のある場所へ出かけることをお勧めします。

 それでは「呼吸器系の病気」や「憂鬱な心」を明るく”乾燥“させ、たった1ヶ月の雨を楽しんで乗りきりましょう!(執筆者:佐藤 明紀良)

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