日本企業が金融業で稼ぐ中、海外の企業が金融業からの撤退を始めている事実

 日本を代表する大企業の多くは、本業以外に金融業で収益の屋台骨を支えている特徴を持ちます。対して、世界的な潮流としては、韓国のポスコやアメリカのGEに代表される世界企業で、金融業からの撤退が始まっています。20世紀は資本の時代であり、中でも金融業はその花形でしたが、彼らはその収益基盤の変化に気づいている可能性が高いと言えます。

日本企業が金融色を強める中で世界的には金融業撤退の色が強まっている


 日本を代表するメーカーであるトヨタ、ホンダ、ソニーなど、そして流通業であるイオンや7&Iに共通すること、それはいずれも本業以外の「金融業」で稼いでいることです。

 上述した企業の業績内訳を見ると、いずれも金融業で多くの利益を稼いでいます。

 イオンであれば、イオン銀行の住宅ローン、トヨタ、ソニーはオートローン、リース。ソニーは銀行のみならず、生保、損保の保険により稼いでおり、エレクトロニクス部門の赤字を穴埋めしている状況です。

 その一方、韓国の鉄鋼大手ポスコが、グループ内の金融業株を売却していることが11月末に報道されています。

 また、アメリカではGEが好調であるにも関わらず、金融業から撤退しはじめています。

 世界的な潮流としては、多くの多国籍企業が金融業からの撤退、本業回帰を始めています。

GEの金融業撤退は戦略的に行われている!?


 GEの金融業からの撤退には、自社の戦略があると想定できます。

 背景を探ると、「金融業が稼ぎすぎている」という認識があるのかもしれません。

 では、たとえばイオンの金融サービスが、イオンモールで提供されているスーパーマーケット事業と比較して、特別素晴らしいサービスかというと、そうも言えないでしょう。

 日本で金融業が稼げる1つの要因には、日本人の金融リテラシーがあまり高くない、あるいは規制が厳しく、とがったサービスがなかなか提供できない、といった原因があります。

 仮にそれが正しければ、将来的には業績が下がることを予測し、まだ周りはそれに気づいていないうちに、金融業を高値で外部へ売却してしまおう、とGEが考えているのではないかといつも思うのです。

20世紀資本の時代から世の中は変化を始めてる


 周りが気づいたら、相場も動きます。周りが気づいていないのであれば、明確な根拠とかデータはありません。

 その中でこういった意思決定、行動ができる企業は素晴らしいと思います。

 おそらく社内では、反対意見もあるが、そこは経営トップが責任持って方向性を決めているのでしょう。

 変化の激しい時代には、強い権限をもったトップのジャッジが必要でしょう。

 現在の経済は例えてみれば、戦国時代、幕末の状況に近いと思います。

 戦後しばらく安定していた江戸時代のような時代が続いていたわけですが、徳川幕府も変わらざるを得ませんでした。

 20世紀は資本の時代であり、中でも金融業が稼げる時代であったことは確かですが、フィンテックの台頭をはじめとして、既存の金融業により収益を得る仕組みは脅かされ始めています。

 今はそんな変化が起こる時代なのではないでしょうか。

Photo via klimkin via VisualHunt(執筆者:大原達朗)

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