聞くに聞けない〜心のこもったお歳暮を贈る際に気をつけたほうが良い4つの注意点

 日頃からお世話になっている取引先へ暮れの時期に贈るお歳暮は、江戸時代からビジネスを円滑にすすめるためのツールとして利用されてきました。お歳暮を気持ち良いコミュニケーションツールとして活用するために、注意しておいたほうが良い点を4つご紹介いたします。

会社を始めた経営者の基本〜お歳暮を贈ろう


 お歳暮は、日頃お世話になっている人や取引先に、感謝の気持ちを込め「これからもよろしくお願いします」という気持ちを込めて贈るプレゼントです。

 お歳暮の由来の一つは、江戸時代に遡ります。

 もともと江戸時代の商売では掛け売りが習慣でした。

 そこで、盆と暮れに半年分の支払いをまとめて行う際に、仕入先などに贈り物も持って行ったことがお中元やお歳暮の由来のひとつに数えられています。

 このように、ビジネスとお歳暮の関係は切っても切れないものです。


 さて、ここで聞きたくても人には聞きにくい、お歳暮を贈る際に気をつけておきたい疑問点をチェックしていきましょう。

1)お歳暮って必ず贈らないとダメですか?


 お歳暮は必ず贈るべき「決まり事」ではありません。

 会社が経済的に厳しい状況の時なら、無理に品物を贈らなくても、心よりの感謝を表した書状を送った方が良い場合もあるでしょう。

 お中元とお歳暮を必ず両方贈らなくてはならないという決まりもありませんし、どちらか1回にしたい場合には、1年間のお礼の意味と半年間のお礼の両方の意味を持つお歳暮を贈れば良いでしょう。

2)お歳暮を贈るのを忘れたらどうしたら良いですか?


 また、なんらかの理由で、お歳暮の時期に間に合わず贈れなかった時や、あまりの忙しさに忙殺されて贈り忘れていた時は、のしの表書きを「寒中お見舞い」または「寒中お伺い」として、お歳暮を贈れば良いでしょう。

 贈る時期は、12月20日過ぎから年末までと、松の内を過ぎた1月8日から立春までの間となりますが、贈り先が会社の場合は年末の多忙な時期を避けるといった心遣いが必要になってきますので、年が明けてからの方がベターです。

3)お歳暮で毎年同じものを贈るのって変ですか?


 品物選びについては、オフィスに贈る場合なら、多人数で分けやすい個包装された菓子や、コーヒー、紅茶といった物が好ましいでしょう。

 社長お一人だけに贈るものは、そのために取り寄せた珍しい物や、贈る側の会社所在地の特産品、社長の好みの物が分かっていればその品物を選んでも好印象につながります。

 意外なことに、毎年同じ物を贈るのもプラスの印象付けとなりやすく、取引先に「いつもあの美味しいお菓子を贈ってくれる会社」というイメージで覚えてもらえます。

 つまり、企業におけるお歳暮は、細かな気遣いひとつをプラスするだけで、その後の業績アップにつながる可能性を持った、大切な贈り物と言い換えることもできるのです。

4)お歳暮で相手が困ってしまうパターンってありますか?


 となれば、逆に「受け取る相手が困ってしまう」ため、避けた方が良い品物もあります。

 個包装のお菓子であっても、「芳醇なチーズの風味」、などという、人によって好き嫌いがはっきりしているもの、また、「要冷蔵」の品や保存がきかない物は、贈られた方が困ってしまう場合があります。

 調理が必要な「食材」も、たとえ美味しいものであっても、オフィスに贈るには向かないものです。

 会社の自社製品を取引先に贈る場合も少なからずあります。

 のしを社内で貼る時は、省資源化が進んでいますので、市販されている短冊のしと呼ばれる細長いのしを使用しても失礼にはなりません。品物の右上に短冊のしを貼り、その上から包装紙で包みましょう。

さいごに


 一昔前まではお歳暮を職場内や取引先で贈り合うのが一般的でしたが、最近では大手企業を中心に贈答禁止を会社としてルールにしているところも増えています。

 このような場合は大抵、商談ルームに「当社は勤務する従業員と取引先各社様の間に置ける、金品・贈答物等のやり取りをコンプライアンスにより禁止しております。」などの張り紙があるはずです。

 せっかくの気持ちが、相手の迷惑になってはいけませんので、このような場合は年末年始に心のこもった挨拶をするだけに留めましょう。

 また、お歳暮を贈りたいと思ったときでも、まずは会社の規定を確認してみるのが望ましいです。

 以上のことに気をつけて、心のこもったお歳暮を贈ることで、取引先と円滑な人間関係を築きましょう。

Photo credit: yto via Visual hunt / CC BY(執筆者:株式会社iCARE)

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