チャットで転職相談。1日に150人の相談にのるジョブクルの転職エージェント

 ウェブサイトの提供するサービスにおいて、まるでリアル店舗にいるかのように、生身の人間がオンラインでも対応する「ヒューマニゼーション(人間化)」が進んでいます。人材紹介サービスを提供する「ジョブクル」も、生身の人間が応答するチャットを利用することで、転職希望者の心理的負担や手間を軽減し、同時にコスト削減も実現しています。

ウェブサイトのトレンドとなりつつある「ヒューマニゼーション」


 こんにちは。ジェネシスコミュニケーションの松尾です。

 近年、ウェブサイトは、サイト訪問者が自ら必要な情報を検索し、自己解決できることを目指す「セルフサービス化」ではなく、あえて生身のスタッフがチャットなどで、サイト訪問者とリアルタイムに接客するような「リアル店舗化」を志向するWebサイトが増えつつあります。

 上記のことは、昨年2016年11月の記事、「人の介在無くしてもはや発展無し?!リアル店舗化する企業のウェブサイト」において解説しました。

 また、リアル店舗化しているオンライン上のサービスとして、不動産仲介業者の「ietty(イエッティ)」の事例(ネットの背後にスタッフ8人が待機。「オンライン接客」が好評なイエッティのケース)を2016年12月にご紹介しました。

  このように、まるでリアル店舗にいるかのように、生身の人間がオンラインでも対応することを私は「ヒューマニゼーション(人間化)」と呼んでいます。

 「セルフ型」ではなく、まさに人間=ヒューマンが接客するスタイルだからです。

 さて、今回はもう一つ、チャットによるオンライン対応を行っているサービス事例をご紹介しましょう。

転職希望者とエージェントがチャットでリアルに対話できるジョブクル


 株式会社smiloops(スマイループス)が、2014年から運営する人材紹介サービス「ジョブクル - JOBKUL-」では、求職者が専用アプリをダウンロードすれば、チャットで転職相談を行うことができます。

節約社長

 私もこれまで様々な人材紹介サービスを利用したことがありますが、直接転職エージェントに会う場合、およそ1時間~2時間ほどじっくり膝を突き合わせて相談できます。

 この直接面談は、転職を希望する求職者サイドとしてはありがたいのですが、現在の仕事を続けながらの転職活動を行う場合、なかなか時間が取れないものです。

 また、まだ今すぐ転職したいわけではないが、自分の市場価値を知っておきたい、どのようにキャリアを磨くべきか、どんな転職先があるのか、そういったことを知りたい程度で直接面談するのは、ちょっと気が引けるもの。

 しかし、チャットであれば完全なリアルタイムでのやりとりではないため、空き時間にちょこちょこと対話を続けることができますし、何より気楽に相談できるものです。

一方、相談にのる転職エージェントにしてみれば、直接面談だとがんばっても1日4-5人に合うのが精一杯です。ところが、チャットを通じての相談でれば、1日に150人ほども同時に対応できるのだそうです。

 おかげでジョブクルは、転職者一人当たりにかかるエージェントの人件費を引き下げることができることから、求人企業に請求する成功報酬は一律70万円と、一般的な人材紹介サービスの報酬(年収の35%、例えば年収1000万円なら350万円)と比較すると低額で人材が獲得できるというわけです。

転職希望者を職務経歴書作成の作業からも開放


私が思うに、この人材紹介サービスのメリットのうち、転職者としての最大のものは、チャットを介してエージェントの質問に答えると、その結果として「職務経歴書」が完成するというところでしょう。

 人材紹介サービスに登録するにあたっては通常、氏名、生年月日、自宅住所などの基本情報に加えて、履歴書、および職務経歴書を作成する必要があります。

 ただ、私の経験からも言えるのですが、履歴書まではがんばって完成できますが、職務経歴書の作成はとても大変で面倒な作業です。結局、登録途中で挫折してしまうということも起きていると思います。

 しかし、ジョブクルであれば、チャット上の会話内容がそのまま職務経歴書に転記される形となりますから、求職者からすれば、いつの間にか職務経歴書が完成しており、転職準備オーライということになるわけです。

 オンラインの求人紹介サービスは、「リクナビNEXT」はじめ、たくさんありますが、転職エージェントとのチャットを基本とするサービスを展開するジョブクルは独自のポジションを確保しています。

 おそらく、なんらかの形でジョブクルのスタイルを模倣したサービスが各社でも導入されていくことでしょう。(執筆者:松尾 順)

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