商才のある人が底辺よりアッパー層から生まれやすいのはなぜ?

 個々の企業におけるケースは別として、マクロの視点で見た時に、大企業と中小企業でもらえる給料には大きな差があり、儲かる業種と儲からない業種の間にも歴然とした給料の差が生じます。底辺を這いつくばった人ほど商才があるのかと思いきや、キミアキ先生はこれを否定。商才のある人はアッパー層から生まれやすいと言います。なぜでしょうか?その理由を説明してもらいます。

100対56、100対16。これ、何を表したもの?


 今日は商才のある人というテーマです。

 商売上手な方は何をやっても商売上手ですから、その商才のある人たちっていうのは、実はどういう人たちなのかな?っていうお話です。

 前提と致しまして、社長さんというのは非常に能力が高いんですけれど、それでも全体の7割以上の会社は赤字で上手くいっとらんわけです。

 それを表すお給料に関する統計を最初にご紹介しましょう。

 国税庁発表の資本金階級別のお給料の差の統計なんですが、資本金10億円以上の大企業のお給料を100とした場合、個人事業で働いている人はお給料が56なんです。

 100に対して56ですから、大企業の人に比べたら中小企業の人は、だいたい半分ちょっとしかもらっていないという統計があります。

 そして、ボーナスは大企業が100に対して、個人事業のところで働いている人はわずか16しかもらっていないと。

 ボーナスに至っては、中小の人は大企業の人と比較して、6分の1しかもらえていないんですね。

 もう少しいきましょうか。今度は資本金2千万円未満の株式会社。私の主要顧客さまです(笑)

 そこで働いている人のお給料は大企業で働いている人100に対して75。4分の3ですね。

 ところがボーナスの差は?大企業100に対して25、5分の1しか無いんですね。

 働いている人は一生懸命働いているんですけれど、給料は低いんですね。

給料の高い業界と低い業界に生じる大きな差


 次のデータは業種についてです。
節約社長
平成27年分民間給与実態統計調査結果について

 給料 + ボーナスで1番お給料を取れているのは、どこかというとインフラ系です。

 電気・ガス・水道、この辺がやっぱり給料高いんです。次は金融・保険。そして情報・通信ですね。

 この辺が給料が高いわけですね。

 次も行きましょう。今度は専門職、次が製造業に建設業あたり、あとは運輸・郵便がこの平均値よりも若干出ている。

 複合サービス事業っていうのは組合とかなので、サービス業という割には産業障壁の高いものですから、普通のサービス業とは比較してはいけません。

 じゃあ、給料が低いところはどこかって言うと、普通のサービス業は低いですね。平均よりも低いところです。

 それからあとは農林水産業、そして掘る方の鉱業、それからぶっち切りに低いのは宿泊・飲食です。

 飲食は昔から低くてですね、私がいつも活用しているTKCの経営指標“BAST”を見れば、付加価値の高い事業、儲かる商売がハッキリ言って分かります。

 飲食は儲からないんですよ。1人当たりの人件費を見ても分かるんですけれど、給料が低い業界っていうのは儲からんのですよ。

 ところが、市場は結構大きいんですよね。

 『ストラテジー&イノベーション』という大学の教材を見ると、外食産業の市場規模について書いてあって、外食産業って26.9兆円と、結構あるんですよね〜。

 給食とかを抜いても23兆円くらいあるんです。

 市場規模だけはデカいんですけれど、一目瞭然で飲食業界は本当にお給料が低い。付加価値が低いんですね。

商才のある人はアッパー層から生まれやすい


 「商売上手な人ってどんな人?」という話のはずが、なぜ資本金別・業界別の給料について最初に説明したかというと、商売上手な方々、私共のお客さまの中で儲かっている社長さん方は、みんなアッパー出身なんですよ。

 これを言いたかったんです。

 商売上手な人っていうのは、実は底辺から這い上がっていないんです(笑)

 殆どの人がアッパー出身なんですね。

 それと、働いている人がめちゃくちゃ勉強する業界と、働いている人が全然勉強しない業界があります。

 では、ちゃんとした経営をやっている会社の社長さんが、どんな業界出身かというと、実はみんな「勉強する業界」出身の方なんですよ。

 勉強している業界の出身で、新たに自分で商売を始める前もずっと沢山の勉強をしていて、どんどん先人の知識、先輩の知識を吸収して、そして実践していくんですね。

 だから、上手くいくんですよ。

 ところが!勉強しない業界出身の人っていうのは、ほっっんとうに勉強しない!!(笑)

 挙句の果てに、社長になってからも勉強しないもんで、商売上手くいかんのは当たり前なんですよ。

 「ガンバる!!」とか「気合」とか、そんなので会社の経営なんて乗り切れないですからね。

勉強と実践を両輪で継続する人は目線が違う


 結局、商売上手な人っていうのは本当に頭が良いし、本当に勉強するんですよ。

 そうやって勉強と実践を両輪で継続していると、だんだん視点も違ってくるんですね。

 もう見る目が違ってきちゃう。

 だから商売をするときに何処を見るかというと、まずその商売が儲かるか儲からないかを見ます。

 例えば、我々あおば会計はこれまで8名の1億円プレイヤーが出ていますけれど、その人たちはもちろんアッパー出身です。

 それからお客さまも、その人たちが誰を相手に商売をしているかというと、金持ち企業か金持ち個人しか相手にしないんです。

 貧乏人の相手は全くしません。

 これは視点の違いですね、貧乏人を相手にしていても儲からんからです。

 そういうことなんですよ。

勉強する人・しない人では気づきに差が生じる


 商売をやるときに1番簡単なのは、まずは立地です。

節約社長

 図のようにカーブのある道があった時に、貴方はAとBどっち側に出店しますか?ってなったときに、商売をしている人たちは「ああ、これならこっちだね!」ってすぐ分かっちゃうんですよ。

 勉強をずっとやってきていたら、もう本当に当たり前のこと。

 例えば車を運転していて交差点とかで信号待ちするときがあるんですけれど、私も見てしまいます。

 交差点の先と自分の横。サッと右側見ちゃう。

 商売が上手いやつは絶対そこに出店しているはずです。

 商売ヘタなやつはここに出店するとかね、そういうのがあるんですよ(笑)

 そういうことって、みんな実は勉強しているんです。

 もう1個出題しましょう。

 あまり車が通らない道で、商店街みたいなところがあったとしましょう。

節約社長

 東京だと「人と自転車」が主に行き来しているんですけど、その時にAとBどちら側に出店しますか?

 おひさまがこんな感じで出ていてね。光がさす感じだとね、どっちに出店しますか?

 「ああ、うん、こっちだね」みたいな感じでね、商才のある人っていうのはこういう簡単な問題でも、気づきみたいなものをちゃんと持っているんです。

 店を出すのって、実は商売の中で1番簡単で、「場所さえ間違えなければ上手くいく」っていうのがあるんですね。

 もちろん顧客戦略はやらなければいけません。

 商品・サービスの絞り込みはやらなければいけないんですけれども、とにかく店っていうのは簡単です。

 今日やった場所2つ、カーブのある場所とおひさまの場所を考えたときに、A・Bどっちの方に出店した方が良いかっていう、そういう話ですね。

 商売上手な方っていうのは、こういうちょっとしたことでも、「あ、こっちだな」って解かるような方ですからね。

 ぜひともみなさんも勉強をして、こっちの人になってはいかがでしょうか。


 
(執筆者:タナカキミアキ)

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