消印・割印・訂正印・捨印〜それぞれの意味と目的。気をつけるべき点

 消印、割印、訂正印、捨印…印鑑を押すことには様々な名称があります。ところが、それぞれの意味や目的をいきなり聞かれると、なかなかはっきり答えられないもの。たかが印鑑の押し方ですが、取引の大勢に大きな影響を与える場合もあります。そこで本稿は、消印・割印・訂正印・捨印について、それぞれの意味と目的をご紹介します。

消印、割印、訂正印、捨印…はっきりと違いを言える?


 消印、割印、訂正印、捨印…印鑑を押すことには様々な名称があります。

 消印と割印の違いって何なんだ?捨印ってなぜ押す必要があるんだ?

 こんな具合で、それぞれの意味や目的をいきなり聞かれると、なかなかはっきり答えられない方もいるのでは?

 日本は印鑑の押印により契約が成立する社会ですから、これらの意味を知っておくと、ビジネスでも役立つ場面が多いことでしょう。

 そこで今回は、印鑑を押すこと(押印)の呼び方(名称)について書いてみます。

消印・割印・訂正印・捨印〜それぞれの意味と目的


消印


 押印の名称で代表的なものとして、まず 「消印」があります。

 消印とは、印紙税法に基づいて収入印紙を貼った後、その印紙の再使用を防ぐため、書面と印紙の彩文(図柄)にかけて押す印のことです。

 購入した収入印紙を貼って消印することで納税したことになります。

 郵便局で切手に消印スタンプを押すのも同じ理屈で使われていますね。

 ただし、消印は、印紙が再使用できないように消されていれば良いのであって、契約書に押した印鑑で消印することまで法律は要求していません。

 確かに、契約書など大切な書面には、当事者双方が契約書に使用した印鑑で消印することが最も適切な処理ではありますが、絶対にそうでなければならない、ということではありません。

 契約当事者の(甲)だけが消印をしていても構いませんし、甲の消印に使っている印鑑が 契約書の記名押印欄に押している印鑑とは違っていても構いません。

 極端に言えば、契約書が回って来たので保存しようとしたら印紙に消印がされていない、仕方がないので、総務担当者の名前のシャチハタ印で消印した、ということでも構わないのです。

 「あ~、○○(株)さん、また消印忘れてる~! これ消印漏れてるよって送り返しといてくれる?」何て面倒なやり取りはしなくてもイイんです。

割印


 割印とは、作成する書面が複数枚にわたる場合、すべての書面に同一性・共通性を持たせるために押す印のことです。

 袋綴じして押す場合と、各ページにかけて押す場合がありますが、袋綴じされている場合には、裏面の背表紙部分に1ヶ所だけ割印するのが一般的です。

訂正印


 訂正印とは、加除訂正した場合に、間違いなく作成者が訂正した証明として押す印のことです。

 訂正印を小さい「訂正用の印鑑(豆印)」で済ませているものを見かけることがありますが、これは社内の少額な経費処理伝票などを訂正するような場合だけにしましょう。

 契約書のような重要書面の記載内容を訂正する印は、必ず、「その契約書の記名押印部分に押した印鑑」を使用する必要があります。

捨印


 捨印とは、訂正印として、あらかじめ押しておく印のことです。

 捨印は楽ちんなので、「後で訂正印をもらうのは面倒なので、ここに捨印くださいね。」、くらいな感じで、気軽に押しちゃうんですよね。

 でも、これは「後からどんな訂正が勝手にされても構いません。」と言っているみたいなものですから、軽々しく押さないようにしてくださいね。

 万が一、紛争になった場合、反論することが難しくなりますから、出来る限り避けたい押印の一つと言えます。

たかが印鑑の押し方・されど大勢に大きな影響


 いかがだったでしょうか?

 消印はシャチハタでOK、逆に訂正印は必ず押印した印鑑で行う必要がある、捨印は軽々しく押すべきでない、などなど忘れているとマズイことが沢山ありますよね。

 たかが印鑑の押し方1つで、押すか押さないかの違いで、ビジネスの展開が全く変わることもあるため、ぜひ正確な知識を得ていただければと思います。(執筆者:行政書士 泉つかさ法務事務所)

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