大塚家具は今、本当に会社としてヤバイのか?数字が伝える新たな対策点

 8月初旬に家具販売大手・大塚家具は、2017年12月期業績が本業の儲けを示す営業損益ベースで、44億円弱の赤字見込みであることを発表しました。一部ではキャッシュの短期間による减少を踏まえ、「大塚家具がヤバいのでは?」と言われてますが、実際のところはどうなのでしょうか?数字を見ながら冷静に考えてみましょう。

大塚家具が二期連続で最終赤字見込みを発表


 8月初旬に家具販売大手・大塚家具は、2017年12月期業績が本業の儲けを示す営業損益ベースで、44億円弱の赤字見込みであることを発表しました。※

 2年前には親子によるお家騒動が取り沙汰されましたが、この時は創業者である父・大塚勝久氏を退けて、長女の大塚久美子氏(以下、久美子氏)が経営権を掌握しました。

 2015年には久美子氏の主導による路線転換とトップ営業により業績は回復したものの、話題性が薄れた2016年には売上高がダウンし、営業利益、経常利益、純利益ベースではいずれも赤字という結果に終わりました。

 真価を見極められる2016年、そして今年もやはり厳しい状況という発表から、「大塚家具はヤバイのではないか?」という声も聞かれますが、実際にはどうなのでしょうか?

大塚家具は現時点で本当にヤバい可能性があるのか?


 確かに2016年12月期時点で、大塚家具は2017年12月期業績について5億円の黒字予想を出していましたから、これに対して今回の発表は大幅な下方修正と言えるでしょう。

 株価も不振を極め、2017年8月10日終値ベースで時価総額は172億円と、100億円弱あれば外部の第三者が買収できる状態です。

 大塚家具のIR情報によると、2012年には営業利益を12億円程度出しています。

 自社が関わることによって、2012年の営業利益ベースまで業績を戻す自信のある同業他社があれば、100億円程度は十分に出せる金額です。

 しかし、実は大塚家具は未だに無借金経営の企業で、まだまだ資金的に行き詰まる状態ではありません。

 また、既存店の売上下げ止まり、2020年に向けたホテルなど法人需要の高まり、提携販路の修復も見られており、ここから急激に財政が一層厳しい状況になるのは、現時点で考えにくいところです。

業績建て直しと同時に買収対策も強化が必要


 とはいえ、先程も述べた時価総額の低下による敵対的買収について、同社は引き続き気をつけなければなりません。

 株主構成が先のお家騒動で大幅に変更され、支配的株主が存在しないからです。

 2016年末時点で大塚家具の筆頭株主は、日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社であり、同社は7.67%の株式を保有しています。
 
 対して、久美子氏が役員を務める資産管理団体(株)ききょう企画は、6.66%しか株式を保有していません。

 既にオーナー企業ではなくなっていますので、やはり外部の第三者から見ると買収は非常にかけやすい状況です。

 虎視眈々とねらっている企業があるとすれば、より業績が悪化し、株価がもう一段下がることを待ち構えていてもおかしくはありません。

 上場している以上、業績の建て直しと共に、買収懸念に対する対策を取らないわけには行かないでしょう。

※平成29年12月期決算補足資料
http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/data/kessan_hosoku_h29_8_4_2.pdf(執筆者:大原達朗)

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