2017年8月9日 17:34
スイート・スポットにある新興国経済
2017/8/8
米景気が拡大する中、欧州では回復基調が強まり、日本でも潜在成長を上回る成長率が続くなど、先進国経済は好調に推移している。先進国に牽引され、世界の鉱工業生産の拡大ペースは実に昨年の2倍となった。一方、こうした回復にも拘らず、先進国のインフレ率や賃金の伸びは鈍い。このため、いち早く金融政策を引き締めに転じた米国でも利上げのペースは緩慢で、ユーロ圏はドイツなどから批判の多い量的緩和の縮小を年内に打ち出せるかどうかといったところ、日本に至ってはゼロインフレで将来の引き締めを検討することすら遠い夢となっている。かくて先進国の好況にも拘らず、世界にマネーは溢れている。
この恩恵を最大限に受けているのが新興国である。資源バブルや新興国バブルの後遺症に悩み、近年まで低成長が続いていたが、国内で過剰債務などの調整が進む中、好調な先進国経済と緩和的な金融環境が大きな追い風となってきた。また、米国が利上げを始めてもそのペースが鈍いため、ドル安気味となっている。これは、新興国へのグローバルな資本流入を促すと共に、ドル建てで取引されるコモディティの価格を押し上げ、資源国の交易条件を改善させることにもつながっている。さらにドル安は、米ドルと人民元を事実上ペッグさせる中国経済の動揺を抑える効果もあるが、資源消費大国である中国の安定は、他の新興国、資源国の経済にも大きなプラスである。もっとも、先進国景気が一段と過熱すれば、インフレ率が上昇しなくても、行き過ぎた株高など金融不均衡のリスクが高まってくる。そうなれば、各国中銀は引き締めを強化せざるを得ないだろう。新興国は今、スイート・スポットにあるが、それは絶妙なバランスの上にあり、いつまでも続くものではない。
【クロワッサン】
米景気が拡大する中、欧州では回復基調が強まり、日本でも潜在成長を上回る成長率が続くなど、先進国経済は好調に推移している。先進国に牽引され、世界の鉱工業生産の拡大ペースは実に昨年の2倍となった。一方、こうした回復にも拘らず、先進国のインフレ率や賃金の伸びは鈍い。このため、いち早く金融政策を引き締めに転じた米国でも利上げのペースは緩慢で、ユーロ圏はドイツなどから批判の多い量的緩和の縮小を年内に打ち出せるかどうかといったところ、日本に至ってはゼロインフレで将来の引き締めを検討することすら遠い夢となっている。かくて先進国の好況にも拘らず、世界にマネーは溢れている。
この恩恵を最大限に受けているのが新興国である。資源バブルや新興国バブルの後遺症に悩み、近年まで低成長が続いていたが、国内で過剰債務などの調整が進む中、好調な先進国経済と緩和的な金融環境が大きな追い風となってきた。また、米国が利上げを始めてもそのペースが鈍いため、ドル安気味となっている。これは、新興国へのグローバルな資本流入を促すと共に、ドル建てで取引されるコモディティの価格を押し上げ、資源国の交易条件を改善させることにもつながっている。さらにドル安は、米ドルと人民元を事実上ペッグさせる中国経済の動揺を抑える効果もあるが、資源消費大国である中国の安定は、他の新興国、資源国の経済にも大きなプラスである。もっとも、先進国景気が一段と過熱すれば、インフレ率が上昇しなくても、行き過ぎた株高など金融不均衡のリスクが高まってくる。そうなれば、各国中銀は引き締めを強化せざるを得ないだろう。新興国は今、スイート・スポットにあるが、それは絶妙なバランスの上にあり、いつまでも続くものではない。
【クロワッサン】
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