ハナマルキが「おみそな〜ら」で音商標を登録〜音商標ってどんなもの?

 ハナマルキがCMで使用している音声の「音商標」について、特許庁から登録を受けたことを発表しました。音商標とは、企業がCM等において自社の商品やサービスにメロディを付けたり、音声や効果音等の音響でアピールしたりして、宣伝効果を高めるために用いられる「音」の商標です。本稿では音商標を登録する際に気をつけるべき点をご紹介します。

ハナマルキが「おみそな〜ら…♪」で音商標の登録


 味噌などの製造メーカー、ハナマルキがCMで使用している音声の「音商標」について、特許庁から登録を受けたことを発表しました。

 ハナマルキが登録した音商標は、同社のCM後半で流れる、「おみそな〜らハナマルキ♪」という、あのサウンドです。


 

 音商標は比較的新しい知的財産権で、馴染みが無い方も多いことと思いますので、本稿でご紹介しようと思います。

音商標って何?音商標を取っている代表的なサウンドロゴを紹介


 音商標とは、企業がCM等において自社の商品やサービスにメロディを付けたり、音声や効果音等の音響でアピールしたりして、宣伝効果を高めるために用いられる「音」の商標を言います。

 たった数秒サウンドを流すだけで、「あの商品だ!」「あの企業のCMだ!」と消費者が認知するため、サウンドロゴは非常に効果的なマーケティングツールであり、これを守る時代の要請が強くなったことで注目を浴びています。

 ちなみに、みなさんがテレビCMで聴いてる効果音や最後の決め台詞、いわゆるサウンドロゴの多くは、音商標によって守られています。

 一例を見てみましょう。皆さん、きっと馴染みのあるサウンドが多いことでしょう。

大幸薬品「正露丸」:ラッパの音色


 誰もが馴染みある正露丸のラッパの音色は、サウンドロゴとして音商標の登録を受けております。


 

伊藤園「おーいお茶」:「おーいお茶」の掛け声


 なんと、伊藤園のロングランヒット商品「おーいお茶」のCMで最後に出演俳優が言う、「おーいお茶」の掛け声も音商標の登録をしています。


 

サンヨー食品「サッポロ一番」:「サッポロ一番♪」のサウンド


 軽快な音色の「サッポロ一番♪」、こちらも音商標の登録をしてます。


 


 いずれのサウンドロゴも、聴いた瞬間に誰もがわかるものですが、これを他者に模倣されぬために、音商標を効果的に使うのは賢明です。

サウンドロゴの音商標を取る際に気をつけること


 ここからは、サウンドロゴの音商標を取る際に気をつけるべき点をご紹介します。

 まず、サウンドロゴは、音と関連づけて商品や会社を覚えてもらうため、視聴者に注目してもらう音であるべきです。

 視聴者が楽曲としてしか認識しないような音は商標登録を受けることができません。

 商品「炭酸飲料」について「シュワシュワ」という泡のはじける音のように、商品から自然に生じる音も商標登録を受けることができません。

 また、楽譜にできる音の場合は、楽譜が必要となります。

 ただし、楽譜にできない音、例えば、「パンパン」と2回手をたたく音や、「ニャオ」という猫の鳴き声については、文章で説明すれば大丈夫です。

 先程ご紹介した、「おーいお茶」も楽譜にできないサウンドですが、これについて伊藤園は「本商標は、『おーいお茶』という人の音声が聞こえる構成となっており、全体で4秒の長さである。」という文章説明を付けて音商標を登録しています。

動画マーケティングの普及で中小企業でも音商標の重要性が高まる


 最後にもう1つ付け加えるなら、サウンドロゴについて商標登録を受けた場合、サウンドロゴには、著作権と商標権の両方が成立します。

 ただし、著作権と商標権を別の会社が持っていた場合、著作権が商標権に優先することとなり、商標権を持っているだけの会社がサウンドロゴを無断使用することは出来ません。

 この場合は、商標権を持っている会社が著作権を持っている会社と交渉し、著作権を譲ってもらうなどする必要があります。

 インターネットでも動画マーケティングが今後重要な位置を占めるようになります。

 テレビCMと比べて比較的安価にCMを流せますから、中小企業も今後更に動画マーケティングを行うことになるでしょう。

 その際にサウンドロゴの重要性が高まっていくことが予想されるため、今のうちに音商標の知識を持っておくのが得策ですよ。(執筆者:弁理士 渡部 仁)

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