「お買い得感=安売り」って誰が決めた?安売りせずにお買い得感を出す2つの方法

 「お買い得感を出すためにはもっと安く売らないとダメだ」という言葉を聞いたことはありませんか?「安売り」と「お買い得感」という言葉を、多くの人は混同したり、セットで考えますが、両者は似ているようで全く非なるものです。安売りをせずに、お買い得感を感じながら、お客様に商品を購入してもらうにはどうしたら良いのでしょうか?

「安売り」と「お買い得感」には天と地の差がある


 「小さな会社ほど安売りしてはいけない」というのはよく聞く話です。

 一方で、お客様が「これはお買い得」と感じなければ、商品が売れないのも事実ではないでしょうか?

  「安売り」と「お買い得感」

 これら2つの言葉を多くの人は混同したり、セットで考えています。

 たとえば、「お買い得感を出すためにはもっと安く売らないとダメだ」という言葉が、販売の現場では横行していますよね。

 しかし、両者は全く違う意味合いを持つ言葉であり、それを理解せずにビジネスを実行する企業は大抵利益が出にくいものです。

 「安売り」とは、自ら、もしくは取引関係者の利益を削り、値段を下げて売ることです。

 もし安売り合戦に巻き込まれたら、体力のある大きな企業に私達は到底太刀打ちできません。

 対して、「お買い得感」とは、私達が提供する価値に対して、お客様が「安いな」と感じてもらうことを指します。

 私達が目指すべきは、「安売りをせずに、お買い得感を感じながら、お客様に商品を購入してもらう」ことではないでしょうか?

 どうすれば安売りをせずに、お買い得感を感じながら、お客様に商品を購入してもらうことができるのか、本稿では2つの方法をご紹介します。

「お買い得感」を打ち出す方法1:お客様の得たい未来が得られる証拠を提示する


 まず、お買い得感を感じてもらうためには、買う人にとってその商品の価値を高いと感じてもらい、納得してもらうことが必要です。

 そのためには、商品を販売する私達が、
  • その商品によって、不安や不便がどのように解消されるか?
  • その商品によって、どんな快感や快適さが得られるか?
  • その商品によって、どんな得(時間やお金)が得られるか?
  • その商品によって、誰が喜ぶか?
 という、商品の付加価値を問う質問へ明確に答えている必要があります。

 回答を表明する上で有効な手段の1つが、お客様の体験談やレビューを公にすることです。

 なぜなら、第三者によるクチコミは付加価値を伝える上で強力な武器となるからです。

 あるアンケートでは、クチコミを信じる人が83%だったのに対して、宣伝広告を信じる人は17%しかいないという結果も出ています。

 自分達で商品の付加価値を説明するよりも、実際に使ったお客様に説明してもらったほうが商品の付加価値は高まるのです。

 その商品によって、本当に自分の得たい未来が得られることの証拠を提示されれば、お客様は値段ではなく商品の付加価値でお買い得感を感じてくれるようになるのです。

「お買い得感」を打ち出す方法2:プライスメーカーとなる


 プライスメーカーとは「自由に価格設定を行える企業」のこと、プライステイカーとは「自由に価格設定を行えない企業」のことです。

 プライステイカーは価格競争に巻き込まれ、安売りに頼らざるを得ません。

 対して、プライスメーカーは、基本的に価格競争を行わず、自らの商品やサービスの付加価値に「お買い得感」を感じてもらいながら、これを販売できます。

 ではどうすれば私たちはプライスメーカーとなれるのでしょうか?

 一つ目に、あなたのところからしか入手できない商品や、独自のこだわりを持った商品を提供することで、あなたはプライスメーカーになることができます。

 また、お客様の個々のニーズに合わせたオーダーメイド商品を提供することでも、プライスメーカーになることができます。

 靴屋なら、お客様の足の状態に合わせたオーダーメイドのコンフォートシューズの提供、あるいは枕屋ならば、お客様の頭の大きさや好みに合わせた枕の提供ですね。

 もしくは、商品がコモディティなものだったとしても、あなたやあなたのお店の雰囲気という付加価値で、プライスメーカーとなることだってできます。

 同じピンドンを買うのに、酒屋なら一瓶で数万円程度が、高級クラブでは数十万円に化けます。

 なぜか?

 「あなたとピンドンを一緒に飲む時間」という付加価値に、お客様がお買い得感を感じているからです。

 この時、あなたはプライスメーカーとなっています。

 最後に復習となりますが、安売りをせずに、お買い得感を感じながら、お客様に商品を購入してもらいたいなら、
  • お客様の得たい未来が得られる証拠を提示する
  • プライスメーカーとなる
 この2つをぜひ意識してみてください。(執筆者:大場保男)

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