テイラー・スウィフトが歌詞の商標登録目指す→日本でも歌詞登録は可能か

 “America's sweetheart(アメリカの恋人)”と呼ばれ人気絶頂の歌手、テイラー・スウィフトが新作アルバムの歌詞を商標登録しようとしていることが話題となっています。コンテンツ産業ではフリーミアム化が進む一方、クリエイターの権利を守るため同様の動きが各所で起こっております。日本で同じことは出来るのでしょうか?

テイラー・スウィフトが新作アルバムの歌詞を商標登録しようとする


 “America's sweetheart(アメリカの恋人)”と呼ばれ人気絶頂の歌手、テイラー・スウィフトが新作アルバムの歌詞を商標登録しようとしていることが話題となっています。

 彼女は過去にもYouTubeで23億回以上の再生回数に到達した大ヒット曲、“Shake It Off”の歌詞の一句、「this sick beat(この最高なビート)」という言葉の商標登録に成功しています。


 

 コンテンツ産業では情報のフリーミアム化が進む一方、クリエイターの権利を守るため、同様の動きが各所で起こっています。

 そこで本稿は、日本でもテイラー・スウィフトのように、歌詞の商標登録が可能なのかご紹介します。

歌詞の商標登録可否はフレーズの長さで見分ける


 結論から言うと歌詞を保護したい場合、長いフレーズか短いフレーズかによって、日本では保護の法律が変わります。

 歌詞など長いフレーズは、著作権で保護されます。

 しかし、フレーズが長くなると、商品やサービスを表す機能が弱くなっていくので、商標登録では保護しにくくなります。

 歌詞ではありませんが、以下のキャッチフレーズの長さを参考に歌詞についても、商標登録で保護できるかどうかを見分けることになります。
  • I'M LOVIN' IT…◯
  • The Power of Dreams…◯
  • IT’S GOOD TO PLAY TOGETHER…✕
  • PLAY BETTER,PLAY FASTER,AND HAVE MORE FUN…✕
 これに対し短いフレーズは、逆に著作権での保護は難しくなりますが、商標登録での保護に適しています。

自分の権利を守ると共に他者の権利侵害も注意


 以上をまとめると、
  • 短い歌詞の保護→商標登録
  • 長い歌詞の保護→著作権
 で行えることになります。

 商標登録したい歌詞が長いか短いかによって保護できるかどうかが変わってくることを覚えておいてください。

 さて、冒頭のテイラー・スウィフトですが、ご紹介した“Shake It Off”の歌詞については、度々盗用疑惑をかけられています。

 クリエイターの皆さんは、自作を盗用されないように著作権や商標登録を駆使するのはもちろん、自分達が他者の権利を侵害しないように気をつけましょう。

Photo credit: PaoloPV via Visual hunt / CC BY(執筆者:弁理士 渡部 仁)

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