【絶対ダメ】中小企業の粉飾決算がバレる理由・無くなる3つの信用

 粉飾決算に手を染めている中小企業は非常に多く存在します。どの経営者にも大きな罪の意識はさほどありません。しかし、粉飾を重ねた企業がV字回復を遂げる可能性は非常に低く、繰り返し行われる粉飾はいびつな数字や企業活動に現れ、最後にはバレます。結果、粉飾決算がバレると、その企業は一気に3つの信用を失うこととなります。

粉飾に手を染める企業に大きな罪の意識は無い


 赤字決算にお化粧して黒字にする。

 粉飾決算に手を染めている中小企業は非常に多く存在します。筆者の小さなビジネス周りでも、ここ1年で3件の企業が粉飾決算をしている事実を経営者や社内の人々から耳にしました。

 どの会社の経営者にも、大きな罪の意識は殆どありません。

 「銀行からの資金調達さえ継続できて(貸し剥がしに合わず)、当座の資金繰りさえ上手くいけば、来期には業績も今期より上がるはずだ…ただし、今、銀行に赤字決算を見せれば融資は間違えなくストップしてしまう。前向きに行くぞっ、俺。だが、今回は仕方がない。粉飾だっ!」

 心の声を代弁すれば、皆がだいたいこんなことを考えているようです。

 確かに粉飾をやってのけた後、劇的な業績の改善によってV字回復を遂げた企業も世の中にはあります。しかし、そんな会社は極わずかです。

粉飾決算を繰り返すと最後に必ずバレる理由


 最初は粉飾の数字が小さいので、お化粧(数字の操作)をするのが簡単ですし、決算を銀行に提出しても、なかなか見えにくいもの。

 ただし、大抵のケースで、一度粉飾に手を染めた企業は、二度、三度と粉飾決算を繰り返します。

 繰り返し行われる粉飾は、やがて企業の行動にムリを生じさせます。

 たとえば、毎期、売上の前倒し計上を行って、2〜3期は強引に黒字決算にしたとしても、4期目はどうでしょうか?

 売上の前倒し計上額を3期分カバーして4期目も黒字とするため、心理的なストレスは非常に高くなります。

 結果、経営者は「赤字でも良いからとにかく売上を作ってこい」と、従業員に言わざるを得なくなります。

 従業員がとんでもない強引な取引で売上を作り、調達した資金では補填できない赤字が生まれ、資金ショート寸前。

 この時にはどんな言い訳も通じず、最後に必ず銀行にバレるのです。

中小の粉飾決算がバレると無くなる3つの信用


 いざ、中小企業の粉飾がバレると、その会社は3つの信用を無くさざるを得ません。

 以下の通りです。

1)金融機関からの信用


 粉飾を金融機関に見抜かれると、その信用は一瞬で無くなります。

 これまで計画されていたものも含め、新規融資は受けられないものと覚悟すべきでしょう。

 一定融資枠内で自由に貸し付けしてもらえる当座貸越契約があるなら、これも契約解除されることになります。

 窮地に陥った末に、ノンバンクや高利貸しへ走り、融資を受けられれば良いものの、銀行融資との金利差はあまりにも大きく、待っているのは泥沼です。

2)取引先からの信用


 赤字企業であったとしても、一定の売上規模があったり、人を雇用していれば、消費税・源泉所得税などを必ず支払う必要があります。

 粉飾していることが税務署にバレて、これら税金の支払いが遅れているなら、税務署は企業が潰れないうちにと、取引先に対して持つ売掛金に差し押さえ措置を行うことがあります。

 取引先へ通知を持っていき、「滞納額が〜だけあるから、◯社(粉飾企業)の口座を凍結し、あなたに対して◯社が持つ売掛金を強制徴収する。」と言われます。

 取引先は混乱しますし、粉飾した企業に対しての信用も著しく失われます。

3)公的機関からの信用


 建設業や人材派遣業など、公的機関から許認可を受けた事業を運営する企業には、一定の資産要件が求められています。

 これらの企業が資産の架空計上により粉飾に手を染めていた場合、資産価額が一気に修正されて、とたんに債務超過となり、経営危機に陥ることがあります。

 たとえば、人材派遣業の場合は資産の総額から負債を控除した額を、2,000万円以上積み立てねばなりませんが、架空の資産を計上していた場合、資産価額の减少分を充当しなければ、許認可を取り消されてしまいます。

 粉飾した企業に融資する金融機関など存在しませんから、この時点でアウトです。

一度赤字になると傷つかずに前へは進めない


 たとえ、会社を守るという大義名分があったとしても、粉飾行為はそれによって、外部の第三者を間違えた判断に導くものです。

 一度赤字になると、どうしても粉飾したくなる気持ちはわからなくもありませんが、金融機関はかえって赤字なら赤字で正直に言えば、どのような返済計画を立てるのかを経営改善計画で提示するように求めてきます。

 残念ながら、相当綿密に組み立てられた経営改善計画であったとしても、追加融資を獲得するチャンスは乏しく、大抵の企業は手負いとなったうえで、倒れるか、ギリギリの復活を目指すしかありません。

 余剰人員の大幅カット、利益の出ない事業から即刻撤退する、売上・利益の立つものにリソースを集中させる、ムダに垂れ流していた経費を極限まで抑える、などの荒療治を行い、経営者自身の給料を文字通りゼロとし、個人資産を全て投げ打つ必要すらあるかもしれません。

 だとしても、粉飾に手を染め、いつかバレるその時に、一気に様々な信頼を失うよりはマシです。

 粉飾を行わず徐々に復活を遂げることに成功すれば、それまでの信用を更に次のプラスの展開へつなげ、赤字に陥った際の経験を活かすこともできるようになります。

Photo credit: brizzle born and bred via VisualHunt.com / CC BY-ND

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