1.7億円を経理に詐取されたデヴィ夫人に喝!経営者は内部統制に責任を持て

 デヴィ夫人の元経理担当の男性が1億7,000万円横領したと報道されています。もちろん今回の事件では、会社から不正にお金を詐取した元経理に一番問題があります。しかし、300回もの不正出金を許してしまった、経営者としてのデヴィ夫人による内部統制の怠りにも大きな問題ありです。同じ状態の企業はかなり沢山あります。自分事として、自社の内部統制をもう一度見直しませんか?

1.7億円を経理に詐取されたデヴィ夫人のニュースを自分事で捉えよ


 デヴィ夫人の元経理担当の男性が1億7,000万円横領したと報道されています。

 参考リンク:デヴィ夫人、横領被害1億7000万円…事務所の元経理担当男を逮捕:サンケイスポーツ

 ニュースを拝見して何点か気になる点がありましたので、少し分析してみましょう。

 経営者の皆さんには、対岸の火事ではなく自分事として、同じことが無いよう、反面教師として捉えていただきたい部分もあります。

デヴィ夫人は経営者として内部統制を怠った


 事件のエッセンスを抽出すると、以下のような話のようです。
  • 1)税理士事務所から派遣されていた担当を途中から個人契約に変えて担当させていた
  • 2)担当者は会計士や税理士の資格をもっていないかった
  • 3)担当者は記憶にないといっている
  • 4)300回以上不正をし、別の案件も含め2億7,000万円の被害となった
 まず、2)のこの担当者が会計士でも税理士でもなかったという点はどうでもよい話です。

 有資格者であろうが、なかろうか、不正をすることはあります。国家資格を持っている人間がやったのであれば、倫理規定や世間からの信頼もありますので、記事にされても問題ないと思いますが、持っていない、と言われても、会計士や税理士は迷惑なだけでしょう。

 1)も問題ありません。どんな契約であろうとも、不正をしたり、しなかったりとは全く関係がありません。

 問題は300回も不正をされて気づかない体制にあります。デヴィ夫人本人が幾ら数字が苦手であっても、大切なお金を勝手に1担当者に引き出されたりすることだけは避けなければなりません。

 もちろんこの担当者が本当に不正を働いていれば問題は担当者にあるのですが、不正を容易にできる環境を作っていることが大きな問題です。

 こうしたことを起こさせないためにダブルチェックをさせたりするのが、いわゆる内部統制なのですが、これは経営者であればやはり自分で責任を持つべきだったでしょう。

 不正を働いた担当者が悪いことは前提として、それでもその体制を放置、丸投げしていたデヴィ夫人にも落ち度は多いにあったといえます。

税理士や経理に数字を全て丸投げは多くの企業で見られる光景


 実はこうしたスタンスは、中小企業の経営者には多く見られます。経理は分からないから税理士や経理担当者にまかせている、人事は分からないから社労士にまかせている、というスタンスです。

 結論からいって全然ダメです。

 もし、御社に優秀なCFO、経理担当者がいたとしても、全てを丸投げしないで自らがお金の流れをチェックするなり、その人間以外にもチェックする人間を作るなど、今すぐ対策を立てましょう。

 騙されてお金を失ったとしても、税務署はそれを利益とみなせば、無慈悲に経営者であるあなたへ追徴課税の支払いを命じます。だとしても、それは内部統制を怠った経営者の責任となるのです。

 特に、自社を売りたいと考えている経営者ならば、お金の流れを自分が把握していない人が高値で会社を売ることなど不可能です。

 売り物である会社のことを理解しないで、モノが売れますでしょうか。

 会社の製品やサービスのことを理解しないで、営業をしている経営者はいないはずですし、いても長続きしません。

 会社を売るとなると、1つの製品やサービスを売るよりも大変なことは想像がつくと思いますし、自分で分からないものはそう簡単に売れません。

 デヴィ夫人の事件を他山の石とすることなく、経営者の皆さんには自社の内部統制を見直すきっかけにしていただければと思います。(執筆者:大原達朗)

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