大塚家具の2年前と今を会計のプロが冷静に比較分析!そろそろ「あれ」しないと…

 東京商工リサーチのレポートによると、赤字が続く大塚家具は、手元のキャッシュが大幅に減っているようです。貸借対照表を見ると、2年前は赤字でも健全だった財務体質が、著しくバランスを崩していることが理解できます。資金調達できなければ危険水域が見えてきそうです。

2年前の大塚家具は業績不振も安心できる財務


 東京商工リサーチのレポートによると、赤字が続く大塚家具は、手元のキャッシュが大幅に減っているようです。

 2年以上前にも大塚家具は赤字状態でしたが、その際には100億円程度のキャッシュもあり、財務は安心できる状態でした。

 その点については、弊社ブログでもご紹介しております。

 参考リンク:6月店舗売上49.6%増の大塚家具の財務は超健全:M&A News

 企業再生を手がける際に数値を見る際は、特に貸借対照表のバランスから見ていきますが、会計マンとしてその貸借対照表に如実な変化が出始めていると感じたので、皆さんと共有したいと思います。

貸借対照表のバランスが大きく崩れた大塚家具


 社長が大塚久美子氏に交代してから2年が経過しましたが、大塚家具は赤字を順調に出し、現在は当初あったキャッシュ100億円が、80億円近く目減りし20億円程度と、財務が大幅悪化しています。

 総資産は約300億円ありますが、そのうち130億円以上が在庫、55億円近くが敷金保証金です。現金約20億円との比率は総計すると9倍であり、非常にいびつです。

 本業で稼げないとすると、資産を切り売りしていくしかありません。投資有価証券が半減しているのはその一環で、会社として保有する株を売却してなんとか当座をしのいでいるのでしょう。

 その額は実に年間で300億円弱。非常に厳しい状況にあることを物語ります。

節約社長

 11月初旬には、空間シェアリングビジネスの先駆けであるTKPと提携して10億円の調達をしますが、大塚家具は直近の9ヶ月で40億円の営業損失を出しています。

 今のペースで営業損失を出し続ければ、今回の調達資金も3ヶ月くらいでなくなってしまいます。

明るい資金調達が無いと破綻の可能性すらある


 では今、大塚家具の業績を劇的に改善させる要素があるか?と言えば、まだ見つからないのが正直なところです。

 今後も引き続きの資金不足が見込まれますし、資金調達ができないということになると、破綻の可能性も出てきてしまいます。

 2017年11月24日終値ベースの時価総額は177億円です。

 この金額で買収を考える先があるか考えてみても、キャッシュが大幅に減ってきていますので、かなりピンチかもしれません。

 TKPが大塚家具の店舗所在地について、不動産保有者としての大塚家具の優位性を考えるのであれば、このまま相手の業績が悪化するのを待って、買い叩ける状態で買収をするか、など考えられる選択肢がいくつか出てきています。

Photo by hirotomo on Visual Hunt / CC BY-SA(執筆者:大原達朗)

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