500㎡以上の土地をお持ちの方は相続にご注意を!来年から税制が大きく変わります。

 広い土地を相続した場合、売却しようとしてもなかなか一般の住宅地としては売れないため、ディベロッパーなどに売却することになり、売却価格が下落するため、従来は広大地評価として大幅に減額評価して相続税が加算されていました。しかし、来年からは減額幅が大きく縮小します。あと1ヶ月しかありませんが、広い土地を持つ方は今年のうちに対策を立てる必要があります。

広大地評価が大幅改定!来年からの相続・贈与は注意が必要。


 今日は、500㎡(三大都市圏以外は1,000㎡)以上の土地をお持ちの方を対象に、平成30年から土地の評価方法が大きく変わるという話題をお届けします。

 広い土地を相続した場合、売却しようとしてもなかなか一般の住宅地としては売れないため、ディベロッパーなどに売却することになります。

 ディベロッパーは、一般家庭に流通しやすく区画割りし、土地の中に道路等の開発を行うなどして市場に流通させます。この開発された道路等は分譲することができないため、その部分を考慮し低い価額で売却することになります。

 売却時に安く売却されるのに、相続税評価が標準と同じでは不公平とのことで、売却時に生ずる価値の下落分を考慮して減額評価する評価方法が広大地評価です。

 ちなみに、現状、広大地として評価される場合の要件は、
  • 1)地域と比較して著しく広い土地であること
  • 2)戸建分譲する際に私道が必要になること
  • 3)3階以上のマンション適地ではないこと
  • 4)大規模工場用地に該当しないこと
 の4つで、計算方法は、
  • 広大地の価額=路線価 × 広大地補正率(※) × 地積
 となっています。

 この計算を当てはめると、500㎡の場合は42.5%、5,000㎡の場合だと65%減額されるのが、広大地の評価方法でした。

広大地評価はどう変わる?地籍規模の大きな宅地の評価方法


 ところが従来の評価方法では、
  • 上記1)〜3)の要件が曖昧なため、納税者と課税との間で判断の相違によるトラブルが相次いだ
  • 同じ路線価の場所で同じ面積であれば、土地の形状に関係なく同じ金額となり、実態との乖離が大きい
 という問題点がありました。

 そのため、広大地評価に関する税制は、以下のように平成30年の相続・贈与から改定となりました。

名称の変更


 「広大地」という名前がなくなり、「地籍規模の大きな宅地」という名称になりました。

地積規模の大きな宅地として評価される場合の要件


 従来は上記にあげた4要件でしたが、今後は以下のように明確な要件が求められます。
  • ①500㎡(3大都市圏以外は1,000㎡)以上の面積であること
  • ②普通商業・併用住宅地区および普通住宅地区に所在すること(中小工場地区は対象外)
  • ③市街化調整区域(都市計画法の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域を除く)以外に所在すること
  • ④都市計画法に規定する工業専用地域に所在する宅地でないこと
  • ⑤容積率が100分の400(東京都の特別区においては100分の300)以下であること

土地評価の計算方法


 地積規模の大きな宅地の評価方法は、
  • 路線価×各種補正率(※1)×規模格差補正率(※2)×地積
 という形になります。

減額幅はどれだけ减少する?


 現行の評価方法と比較すると最小で22.5%、最大で36%も減額幅が縮小されます。土地をお持ちの方は、従来の広大地を基準とした減額幅で考えていると痛い目に会います。

地積現行の減額率改正後の減額率
500㎡42.5%20%
1,000㎡45%22%
2,000㎡50%25%
3,000㎡55%26%
4,000㎡60%28%
5,000㎡65%29%

改正後に土地評価が不利となる場合の対策は?


 改正後に有利になるケース、不利になるケースそれぞれの場合が考えられますが、改正後の方が不利になる場合、どのようにすればいいのでしょうか?

 まず、相続する相手が決まっている場合、平成29年中に相続時精算課税を使った贈与を行いましょう。

 残り1ヶ月ありませんが、今年中に贈与契約書を作成し、できれば公証人役場で確定日付を取っておくことが望ましいです。

 相続時精算課税とは、60 歳以上の親・祖父母から20歳以上の子・孫への贈与で、贈与を受けた財産の評価額の2,500万円までは非課税で、それを超えた場合、一律20%で課税される制度です。

 もし後になって相続が発生した場合、贈与した財産は贈与時の価額で相続税が計算され、支払った贈与税は相続税から控除されます。

 個々の状況により対応は異なりますので、該当される方は専門家へ相談されることをお勧めいたします。


(※1)各種補正率:土地の形状に応じた補正率・・・標準的な大きさの土地でも適用されている補正率です。
(※2)規模格差補正率:土地の大きさを考慮した補正率(執筆者:株式会社C Cubeコンサルティング)

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