年金に殺される労働者生き残るには◯◯な立場を勝ち取る必要がある

 偽装請負・偽装派遣・偽装委託…法律面から見れば違法ですが、これらの行為に手を染める企業を非難するのは簡単です。しかし、もう一方で、なぜ企業がこれらの行為に手を染めるのか考えてみると、根本的に労働者と企業に大きな年金支払の負担が構造上課せられていることがわかります。年金に殺され搾取される労働者とならぬための方策とは?

もうムリ…年金に殺される労働者と中小企業の社長


 今日は年金に殺される労働者ということで、まぁ労働者だけじゃなくてね、中小零細企業の経営者も「もう、ムリ!年金の支払いでもうこれ以上従業員を雇っていけない」と。

 そういう状況に追い込まれている人が多いんじゃないかなーと思っています。

 特に2015年から年金の取り立てがキツくなりまして、小さな、まぁその…儲かっていないような会社さんでも、もう無理やりに厚生年金を払いなさいと。

 そういう形で厚生年金を払うと、もう従業員の雇用なんて守っていけないのなんて当時から分かっていたんです。

 だけれど、「法律は法律ですから!年金払いなさいよ!」っていう感じで、会社側に年金の負担までシワ寄せがきたわけです。

偽装請負・派遣・委託の根底にある大きな問題


 というのも実は中小企業だけではなくて、その前から大企業でさえも年金を払うのがキツくて、偽装請負・偽装派遣・偽装委託とか要するに「自分のところの従業員ではありません」というようにして、実態はどこかの従業員っていうね、日本の名だたる大企業が散々これやりまくったんです。

 なぜかといったら、もう年金の負担に耐え切れないからしかたなくやっているんです。

 だけれど偽装請負は”悪”、偽装派遣は”悪”、偽装委託は”悪”、そこの部分しか取り上げられないんです。

 その根底にあったのは何かって。

 「もう、年金負担できないよ」って、その叫びなんですね。

 ですから、実態はどこかの従業員さんだったのが、いつの間にか個人事業者のような扱いになって、最終的には社会保険とか厚生年金がどこかに行ってしまった〜っていう話なんです。

 社会保険や厚生年金は「各種保険」とか言うんですけれど、その会社が基本的に負担しないといけないのは、いわゆる正社員といわれる人のは確実に負担しなければいけないんですよ。

 「雇用期間の定めがない」従業員のことを正社員というんです。ただこれだけです。

 じゃあ、これに対抗するのは、契約社員という形で「雇用期間の定めあり」なだけなんです。

 ところが契約社員さんも大体半年更新とか1年更新で5年を超える契約をすると、そこからは「無期化」つまり正社員と同じように扱いなさいという決まりになっております。

 実は正社員さんであっても、もし解雇をすることができたら、あとは契約社員さんのように1年契約でも、そこで辞めていただくことがもしできるのであれば、社会保険や年金はまだ払えるんですよ。体力として。

 ところが今、正社員さんを辞めさせることが法律上どうやってもできないんです。

 ですから、その正社員さんの働きが悪かろうと関係無いんですよ。

 給料はずっと払い続けていかないといけないし、そしてその正社員さんにかかる厚生年金、社会保険、そして雇用保険と…あとは労災もあるし、各種保険をず〜っと企業が払っていかないといけない。

 これホンットにキツい問題なんです。

下請けと親会社に見られる組織形態の決定的な違い


 次は組織論について。

 一番簡単なのが「ライン組織」っていいます。

節約社長

 トップがいて各部門があるわけですけれど簡単に言うと、3つの製品を作っていると考えればよいです。

 そうすると、トップがいて、A製品・B製品・C製品のベルトコンベアーがそれぞれあって、それをラインっていうんですけれど、そこに従業員さんがいて3つの製品を作っていると。

 このライン組織っていうのは実は中小企業に非常に多いです。

 中小企業っていうのは下請けが多いんですよ。

 下請けが多いからトップの所に仕事が入ってきて、そしてラインの方でものを作っていたりするとかね。

下請けに仕事を投げる組織は優秀なスタッフを大切にする


 ところが、その仕事を発注する側、ライン組織に仕事を投げる側っていうのはね、組織がちょっと違うんですよ。

 ライン・アンド・スタッフ組織といって、実は”スタッフ”というのがトップの横につくんですね。

 これがいわゆる『頭脳集団』なんですよ。要するに頭で勝負する連中です。

 このスタッフの中でもリッチ・スタッフっていうのは、先行性とか革新性でとにかく前を見る、頭を使う連中なんです。

 こういう人たちを集めるんです。

 もっと簡単に言うと、今ベンチャーと呼ばれているのは、”スタッフ”を1番最初に集めるんです。

 このスタッフとトップが結構大事で、あとのラインについては、先ほどの「投げちゃえば良い」ということですね。

 要するに「ライン組織」の下請けに投げちゃえば良いんです。外注ができちゃうんですね。

 そうすると企業体というのはどういうふうに考えるかというと、この”スタッフ”という人には絶対に出て行ってほしくない。

 なぜなら、これ特に外資系だとこの”スタッフ”をヘッドハンティングするわけですね。

 ”ライン”からヘッドハンティングするっていうのはまずないんです。

 ”スタッフ”の取り合いをしているんですね。ですから”スタッフ”の立場になれば、雇用が逆に守られるって考えた方が良いですね。

リッチ・スタッフの立場に立てば雇用が守られやすい


 では、このリッチ・スタッフといわれている先行性・革新性のスタッフは部署でいうと、いわゆる要職といわれているんですね。

 ”スタッフ”になれる部署というとね、開発・企画、財務・人事、営業みたいな感じでね、この後ろに「部長」っていう名前をつけると、あぁ確かに要職だよなって分かりますよね。

 営業だと、セールスとマーケティングと分かれている所もありますが、あれ大体似たような感じです。

 開発・企画、財務・人事、営業の要職に就いている人たちっていうのは、ヘッドハンティングやっている人達の間で本当に取り合いなんです。

 つまり、企業からずっと雇用してもらおうと思ったら、こういう”スタッフ”側の方の仕事が良いんですよ。

 ですからライン側の仕事をすると、やっぱりどうしてもね、本当に社会保険の負担もキツいし、申し訳ないけれど期間限定で働いてくださいってなるかもしれない。

 それくらいみんな追い込まれているんだっていうことを知っておいて、なるべく”スタッフ”側にいこうって。

 そして、なぜ会社が小さいままなのかって言ったら、この”スタッフ”の頭脳が無いんですよ。

 ですからベンチャー企業が本当に最初に思い切って金をぶっ込んで、なぜこの”スタッフ”を集めるのかって話なんですね。集めるのにはめちゃくちゃお金かかるんですよ。

 でもこの連中を集めないと、大きい会社になれないからです。それも知っておくと良いと思いますよ。


 
(執筆者:タナカキミアキ)

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