あなたの商品はお客様が必要なもの?欲しいもの?タイプ別・最強アプローチ方法
私達が販売する商品やサービスは消費者の原始的欲求レベルで必ず、「欲しいもの」か「必要なもの」として認識されています。あなたの商品やサービスにおいて、どちらの属性が強いとしてもやるべきことは1つ。お客様の消費を喚起するため付加価値を付け加えることです。では、ニーズ商品、ウォンツ商品それぞれにおいて、消費を喚起する最強のアプローチ手法をご紹介します。
ペットショップの買い物に無常の喜びを感じる消費者
僕の家にはマールとモコという兄弟猫がいます。まぁまぁワガママで好き放題に暴れまわる2匹でして、彼らに僕はいつも手を焼いてます。
僕はこの2匹のために毎週ペットショップへ行き、買い物をするわけですが、先日レジで並んでいる時、あるオバサン(笑)に声をかけられました。
「あなたは猫?それとも犬?うちは犬なんだけれど、本当にお金がかかって…」と、そこからは延々とうちの犬自慢です。
彼女の買い物かごを見ると沢山の犬用商品が詰め込まれてまして、とてもお金がかかりそうだなと思ったんですが、彼女の表情はとても幸せそうなんです。
大げさに言えば、自分の愛するペットのためにお金を使うことに、無常の喜びを感じている、そんな表情を彼女は浮かべていました。
税金を支払うことに無常の喜びを感じる人はおそらくいない
話題は変わり、あなたは税金を払うことに、ペットへお金を使うのと同じ喜びを感じている人を見たことがありますか?
「税金払うの楽し〜っ!」と、満面の笑みで税金の支出を喜んでいる人など、私は見たことがありません。
税金の支払いは「世の中にとって必要な義務」だとわかってはいても、苦虫を潰すような気持ちで殆どの人がこれを行っていることでしょう。
このように、同じようにお金を支払うにもかかわらず、「お金を使うのが楽しくてしょうがない。もっとこの商品にお金を使いたい」と感じる商品と、「できるだけこの商品にお金は使いたくないよね」という商品があります。
「ニーズ」が売りの商品を販売する際の最強アプローチ手法
上記の税金とペット商品に対する支出への感情の違いは、マーケティングの世界で、「ニーズ」と「ウォンツ」という感情の違いとして知られます。
「ニーズ」のある商品は必要ですから、いずれどこかで必ず買われます。ただし、消費者はなるべくこれらの商品にお金を使いたくありません。
もし、あなたがニーズを売りにした商品を販売しているなら、これを上手く進めるためには2つのポイントを踏まえる必要があります。
1つ目のポイントは、「必要なものはいずれ買わねばならない」という消費者心理に呼応し、「できるだけ早く」「できるだけ安く」「できるだけ簡単に」届けられるよう差別化を図るのです。
これら「できるだけ〜」はマーケティングの世界では、「魔法の薬」と呼ばれています。
ただし、この土俵で戦うには相当の消耗戦が予想されます。特に「安い」分野の差別化については、中小個人はなるべくこの領域だけで戦わないほうが懸命です。
2つ目のポイントは、必要であるものに「欲しい」という要素を付け加えることです。
たとえばティッシュを例にあげてみましょう。「柔らかい」「しっとり」といったキーワードの商品が増えていますよね。
ですから、ニーズで販売する商品については、「できるだけ早く」「できるだけ簡単に」というキーワードにプラスして、「欲しい」と感じる要素を付け加えることが大事です。
「ウォンツ」が売りの商品を販売する際の最強アプローチ手法
次に、「ウォンツ(欲しい)」と感じる商品を、どのように販売したら良いのか考えてみましょう。
これらの商品を販売する際のアプローチで意識するキーワードは、「選べる」「専門」「珍しい」というものです。
ゴルフショップを例にあげると、ここに来る人はクラブやボール、靴が遊びのために欲しくてやってきます。
家に何本もドライバーがあるのに、ゴルフをやればやるほど、買えば買うほど、お金をクラブに注ぎ込みたくなるのです。
こういった顧客に対しては、「選べるクラブ」「専門性の高いクラブ」「珍しいクラブ」というアプローチがとても有効ですよね。
たとえばドライバーを既に持っている人でも、「肩の可動域が狭くてボールが飛ばないあなたのような方専門のクラブです」と言われれば、該当する顧客は、自分にとって必要なクラブだと感じます。
つまりウォンツを感じる商品については、顧客に対して、なぜ新しい商品が必要かをきちんと説明するのが得策なのです。
ニーズとウォンツは表裏一体。両者をミックスして訴求しよう。
私達が顧客に提案する商品やサービスは例外なく、消費者の感情において原始的に、「ニーズ」か「ウォンツ」のどちらかに多く振れています。
もう皆さんおわかりだと思いますけれども、ニーズに振れている商品はイケてない、ウォンツに振れている商品はイケてない、という意味ではありません。
自分たちの商品やサービスがどちらに振れた商品かを踏まえて、顧客の購買率をあげるために、意識してマーケティングを実行すればよいのです。
つまり、
- ニーズに振れている商品⇒ウォンツを訴求する
- ウォンツに振れている商品⇒ニーズを訴求する
必要で欲しいもの、欲しくて必要なもの、自分たちの商品やサービスがこの状態でアプローチできているか、今一度確認してみてください。
(執筆者:高橋 伸夫)