吉野家無料クーポンで並ぶ人と似た価値観を持つ経営者は大抵儲かってない

 ソフトバンクがスーパーフライデーめがけて、吉野家の牛丼380円分が無料で食べられるクーポンを発行し、これを利用しようとした人による1時間〜2時間待ちの長蛇の列がニュースで話題になりました。自分の時間あたりの付加価値を考えれば行列待ちなんてできないと考えるところまでは理解できますが、実は同じような価値観に毒され儲かってない経営者が沢山います。

吉野家の無料クーポンめがけ週末に長蛇の列


 今月の初旬、ソフトバンクがスーパーフライデーめがけて、吉野家の牛丼380円分が無料で食べられるクーポンを発行しました。

 結果、吉野家で無料で牛丼を食べるべく、多くの人が1時間〜2時間待ちで長蛇の列に並び、ニュースでも話題になりましたよね。

 皆さんはこのニュースを見た時にどんなことを感じましたか?

 私は「自分なら絶対にありえない。並ばない。」と思うと同時に、「でも、これって経営者でも同じようなことやって儲かってない人多いよな。」と感じました。

自分の時間あたりの付加価値を考えれば380円の牛丼に行列待ちなんてできない


 まず、経営者や個人事業主にとって最大の資産は時間ですよね。

 吉野家の牛丼380円が無料になるからといって、行列待ちだけで1〜2時間、行き帰りも含めたら2〜3時間使うなんて、時間をコストと考えれば絶対にやりたくない。

 だって、今時分、コンビニバイトをやったって、東京なら900円以上、1200円とか1時間でもらえるわけじゃないですか。

 たしかに、普通に働いているサラリーマンなら並んでもOKです。

 自分の時間を既に切り売りして、その対価として毎月変わらぬ給料をもらえるわけですから、仕事終わりに吉野家に並んだって大したことはない。(大抵はあまり出来ない人達と思いますが)

 ここまでは理解できると思うんですけれど、実はビジネスの現場となると、吉野家に無料クーポンを使って並ぶ人と同じようなことを、無意識にやってる経営者や個人事業主がかなり多いんです。

取引先に求める価値観が「価格」の経営者は吉野家無料クーポンで並ぶ人と似た価値観を持つ


 吉野家に無料クーポンを使って並ぶ人と同じようなことをする経営者や個人事業主は大抵、「高いか」「安いか」を最優先の基準として取引先を選んでいます。

 このような経営者の会社や個人事業主の事業は殆どの場合、時間あたりの付加価値が低く、儲けが出ていません。

 なぜなら、取引先に、安いもの、無料のおまけやサービスを求める場合、取引先は商品やサービスの質を落とします。

 一時的に無理して質の高い商品やサービスを安く提供させることに成功しても、相手に利益が出なければ、いずれ商品やサービスの質は落ちます。

 安かろう良かろうという状態が継続するのは非常に困難だからです。

 トラブルが発生しやすくなり、お互いに不満が生まれ、更に取引先の商品やサービスの質は落ちていき、負のループが連鎖します。

 結局、事後処理に時間がかかり、利益を生み出そうにもとんでもない時間を費やさねばなりません。時間の浪費です。

 一方で付加価値の高いビジネスを行う経営者や個人事業主は、取引先に対して「良いか」「悪いか」を最優先の判断基準として求めます。

 良い商品やサービスを提供する取引先に対しては、それに見合った対価を与えます。

 結果、取引先は対価に応じて良い商品やサービスを提供し、自分たちの商品やサービスも更に質の高いものとなります。

 トラブルは起きにくくなり、信頼関係の元、更に一緒に良い商品やサービスを作ろうとする正のループが生まれます。

 取引先が自分たちのために働いてくれるため、手間がかからなくなる分、儲かっている人には更に時間が生まれ、更に儲かるようになります。

 時間に投資しているからです。

 吉野家の無料クーポンを使って並ぶ人達と取引先に「価格」を第一義に求める経営者や個人事業主の価値観は、このように似通ったものです。

 あなたは取引先に安さを求めて時間を浪費し、ビジネスの付加価値を落としていませんか?


 
(執筆者:島倉大輔)

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