モラハラ社員の多くが抱える「自己愛性人格障害」とは何か?

 モラルハラスメントは略称で「モラハラ」とも呼ばれ、酷い言葉や人格否定を繰り返す発言や態度を相手に投げかけて、相手の心を傷つける行為です。実は、モラハラを起こす社員は「ある病気」を抱えているケースが多いようです。被害者を守るための対策と、モラハラ社員をどう扱うべきか?解説いたします。

言葉や精神に与える暴力・モラルハラスメント


 名前はあげませんが、有名歌手と大物二世タレントの離婚騒動などを通じて、世間ではモラルハラスメントに注目が集まりました。

 モラルハラスメントは略称で「モラハラ」とも呼ばれ、酷い言葉や人格否定を繰り返す発言や態度を相手に投げかけて、相手の心を傷つける行為のことを言います。

 「肉体的な暴力」に対して、モラハラは「言葉や精神に対して与える暴力」と言われており、無視や嫌がらせなどによって精神的被害を受けた場合も、モラハラに該当します。

 このモラハラ、家庭内はもちろんですが、最も被害者が存在するのは職場だと言われています。

経営者がモラハラと真剣に向き合うべき理由


 上司や先輩、同僚から理不尽な言葉や態度をされていたとしたら、その人はもしかするとモラハラの被害者になっている可能性があります。

 経営者にとってみれば、従業員が被害者となった場合、従業員を守るのはもちろん、相手の罪を認識させてモラハラを辞めさせなければ、労務トラブルの大きな原因となってしまいます。

 幾ら、従業員の上下関係で生まれたモラハラでも、最終的に金銭的・倫理的な責任を取るのは、会社であり経営者ですから、絶対に防がなければなりません。

 ですから、経営者はしっかりと、モラハラ対策を打っておく必要があります。

 部下であるがゆえに反論もできず、ひたすら我慢してしまう社員がいる場合、事態が表面化すれば、最悪の場合体調を崩して退職に追い込まれ、損害賠償を求められるケースもあります。

 モラハラがなぜ起きるのか要因を知り、どのような対策を打つべきか、本日は考えてみましょう。

モラハラ加害者の多くはある病気にかかってる


 モラハラの加害者は、実は病気が原因で高圧的な態度に出てしまうケースが多いと言われています。

 その病気は「自己愛性人格障害」と呼ばれており、他人を見下したり、傷つけて支配下においておくことでしか、自分の不安を解消したり、自己の尊厳を保てない特徴があります。

 彼らは、自分の行動を正当化するために、相手が叱られても仕方のない低レベルの人間だと、無意識に思い込もうとします。

 自分に甘く、他人に厳しい思考回路でしか望めないため、非常に厄介です。

 しかし根本的な部分では、自分自身をうまく愛せない障害を持っているため、深層心理で自分に対して劣等感やコンプレックスなどを強く感じてているのです。

 これをおさえつけるために、自分は優れており、身近な立場の弱いものをいじめるなど、優越感を得るために高圧的な態度を取らざるを得ません。

 彼らの行動には、幼少期のトラウマが大きく影響しているとされ、親が自分に無関心であったり、逆に過干渉で勉強などに強く意見するような場合によく見られます。

 常に親の顔色をうかがったり気を引こうとする生活が習慣になってしまい、愛情を含めた人間としての尊厳を築き上げる感情が不安定になってしまいます。

 「三つ子の魂百まで」とはよく言いますが、幼少期の不安定な心情は治癒せず、大人になっても人格障害として確定してしまうのです。

モラハラ被害者に事前周知しておくべきこと


 自己愛性人格障害でモラハラを行う人間がいたとしても、守るべきはモラハラの被害にあっている被害者です。

 モラハラの深刻な被害者が出ないためにも、以下のようなモラハラ措置を、事前に全社へ向けて打っておくことは賢明です。

相談相手を見つけてもらう!できれば経営者自身がなろう!


 被害者にとって一番つらいことは、職場の中で相談できる相手や理解者がいないことです。

 加害者の巧みな言い回しや思い込みにより、職場内で孤立してしまい、言われ続けることで、「自分が悪いのでは?」と思い込んでしまう場合すらあります。

 こうなると情報が封鎖されるため、被害の実態も周囲に分かりづらく、密室が出来上がってしまいます。

 孤立を避けるためにも、できるだけ早い段階で他の社員に相談し、周囲が実態を把握できる体制を整えるべきでしょう。

 会社の体制が小さいならば、一番の相談相手は、経営者である貴方自身というのが、望ましいはずです。

証拠をレコーダーに録っておくよう指示する


 加害者が中傷やひどい暴言を行っている場合には、それをボイスレコーダーなどに録音しておくよう促しましょう。

 望ましくはないのですが、将来的に裁判沙汰になった場合、このように明らかな証拠があると、ボイスレコーダーは被害者にとって、非常に強い味方となってくれます。

 モラハラで暴言などを受ける場合は、多くの場合、前兆が分かるようです。

 別室に二人きりで呼び出される、二人で外出するなどのケースです。

 最近では、スマホにも音声録音機能や、録音アプリがあって、性能も非常に良いので、ボイスレコーダーの代わりに利用することもありでしょう。

 ただしこうなる前に、経営者がモラハラを止めるのが最善の策です。

加害者にはモラハラ停止と根本対策を求めよ!


 最後に加害者対策ですが、先述の通り、モラハラの加害者は、自己愛性人格障害という病気を根底に抱えている場合があります。

 自己愛性人格障害の場合、加害者はきちんとカウンセリングを受けないと、自然に治ることがありません。

 加害者には経営陣が直接、モラハラを認識させた上で、モラハラを断固禁じると共に、加害者に対して、具体的な治癒へ向けた治療を受けるよう、指示する必要があります。(執筆者:株式会社iCARE)

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