なぜあの企業は助成金に力を入れるの?助成金を申請する5つのメリット

 企業の中には助成金に詳しい専属チームを抱えている会社があります。なぜそんな部隊を抱えている会社があるのか?理由は、助成金を申請することで、これらの会社が余りあるメリットを享受しているからです。そこで、「助成金の全て〜活用のイロハ」シリーズ第3回目は、「助成金を申請するメリット」についてご紹介しようと思います。

なぜあの会社は助成金の給付に力を入れるの?


 私共は経営コンサルティング、会計、労務、人事を通じて、1,000社以上の企業を支援させていただいてますが、中には助成金に詳しい専属チームを抱えている会社もあります。

 この話を聞くと、なぜそんな部隊を会社に抱えているのだろう?採算合うのか?と疑問に思われる方も多いかと思います。

 しかし、このような部隊は決して無策に作られているわけではありません。

 助成金を給付できることによって様々なメリットを享受できるからこそ存在しているわけです。

 そこで本稿は、助成金を給付されることによって生じる5つのメリットをご紹介しましょう。

助成金の給付によって生じる5つのメリット


1)雑収入として収益を手に入れられる


 厚生労働省から給付される助成金は補助金などと違い、給付要件を満たせば国の予算がある限り、原則的にほぼ100%支給され、用途も自由で返済も不要なお金です。

 従って、会計帳簿上では本業とは関係のない収入である雑収入として計上されます。

 数十万円〜百万円単位とはいえ、仕入れ原価等がかからない収入が会社に入ることは、中小企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。

2)就業規則や人事制度を整備するチャンスが得られる


 厚生労働省から給付される助成金を申請する際は、就業規則の作成・変更・届出、労務管理面でのコンプライアンス遵守が必要になります。

 たとえば、満足な就業規則が作成されていない中小企業では、就業規則の不備が原因となり、労使問題が発生する場面も多々見られます。

 また、スタートアップ時点の不透明な人事制度を今も活用しており、これが原因で人材がなかなか定着せず、離職の原因となっている場合もあります。

 助成金の申請をきっかけとして、就業規則や労務管理をしっかりと整備することにより、これらの問題を軽減するチャンスとなります。

3)労働環境や教育制度の充実によりプラススパイラルが生まれる


 キャリアアップ助成金を例に上げると、
  • 未払い残業代が無い
  • 36協定を超える残業がない
  • タイムカード等できちんと就業時間管理されている
  • 会社都合の離職がない(解雇・退職勧奨など)※
 といった要件が満たされていなければ助成金の給付ができません。

 つまり、助成金の受給が可能なのは、労働基準法に則り、従業員に適正な労働環境を提供し、教育制度育を導入している企業になります。

 いろいろな種類(雇用関連、教育訓練関連、雇用環境関連、育児・女性・介護関連等)の助成金の受給を実現している企業には、企業にとってプラススパイラルが生まれると言って過言ではないでしょう。

 例えば、優秀な人間ほど、恵まれた労働環境を求めますから、下記のようなスパイラルが生まれる可能性があります。
節約社長

4)社会的な信用を手に入れられる


 助成金は厚生労働省が「要件を満たしている企業」に対して与えるお金であり、給付を受けた企業は公的な審査に合格した企業ということになります。

 厳しい要件をクリアした企業として、透明な人事制度を構築し、人材育成に力を入れている企業として堂々とアピールできますから、一定の社会的信用を得ることが可能です。

5)整備が終われば仕組み化して給付を受けられる


 厚生労働省が給付する助成金は、たくさん種類があり、毎年新しい助成金ができたり、なくなったりしています。

 その中でも、キャリアアップ助成金のように対象者がいれば毎年申請できるものもあり、就業規則や労務管理方法を一度きちんと整備し、労務管理を正しく実施し続けていれば、助成金を毎年獲得することも可能です。

 企業によっては、助成金だけで毎年数百万円から1千万円単位の収益を確保しているケースもあります。

総合的にメリットを享受できる助成金を申請しましょう


 いかがだったでしょうか?

 助成金の給付を受けるための取組は、就業規則や労務管理の整備、労働環境の改善などを通じて、間接的に会社の発展に大きく貢献します。

 一度、労働環境や労務管理を整備して維持し続ければ、初年度以上に翌年、翌年以上に再来年、安定した収入源が生まれやすくもなります。

 やみくもに「もらえるお金が多いか少ないか」で判断せず、上記であげた5つのメリットを総合的に享受できるような助成金の給付を狙えば、取組の費用対効果は非常に大きくなるでしょう。

※例:人材育成コースの場合は、正社員転換日の前日から起算して6ヶ月前の日から支給申請書の提出までの間に会社都合の退職がないこと(執筆者:吉住 幸延)

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