80歳で不動産業を始めて86歳で年商5億超え!和田京子さんに学ぶ4つの差別化戦略

 今、メディアで話題となっている和田京子不動産を読者の皆様はご存知ですか?同企業の社長、和田京子さんは御年86歳にして年商5億円以上を稼ぐ敏腕経営者です。しかも彼女が起業したのはちょうど80歳になった時のことでした。ただし、年齢以上に彼女が成功した背景には4つの独自な差別化戦略があります。島倉さんの解説によりお届けします。

80歳で起業し年商5億円!異能の起業家和田京子さん


 今、何かと多数のメディアで話題になっている和田京子さんという起業家をご存知ですか?

 彼女は80歳になってから不動産業で起業し、年商5億円を超える会社に育てた素晴らしい起業家です。

 何が素晴らしいのかというと、80歳という年齢を過ぎての起業というのもそうですが、成功するために必要なポイントをしっかり押さえているところが本当に凄いなと思いました。

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 そこで本稿は、人生の大先輩でもある和田京子さんから、ビジネスで成功するために必要な差別化戦略4つのポイントを学びたいと思います。

起業の背景に失敗を繰り返した住宅遍歴あり


 まず、彼女が起業した経緯について軽く振れてみたいと思います。

 和田さんの旦那さんは教師だったので、数年ごとに引越しをしていて、人生でなんと7回も家を購入してきたそうです。

 しかし!驚くことに買った家は全部が欠陥住宅だったといいます!びっくりですけれど本当の話です。

  消毒しなければ済めない住宅

 汚水の処理ができないので、トイレがまったく使えない住宅

 耐震性がないので2階に住むことができない住宅

 毎日のように断水する住宅

 下水管が地面浅く埋めていたので汚水が沸き上がってくる住宅

 といった具合に、彼女は「満足できる家に住んだことがない」という不満をずっと抱えていました。

 やがて旦那さんが亡くなり、人生でもっとも大きな買い物で自分のように失敗して欲しくない、という想いから79歳で資格を取得。

 80歳で起業し、自分の名前を冠した「和田京子不動産」を立ち上げました。

 起業すること自体が凄いことなのに、合格率16パーセントと言われている宅建を、たったの1年で取得したことも素晴らしいですね。

 とはいえ、最初に契約がとれるまでの2年間は経費がかかるだけの日々だったので、身内からも「傷が浅いうちに、早めにやめた方がいいのでは?」と言われていたそうです。

 しかし、彼女は、「始めたからには1年、2年なんて短い期間ではなく3年、5年と見ていかなくては。何事もとことんまでやらないと分からないでしょう?」と反論したそうです。

 このエピソードからも、欠陥住宅の被害者をだしたくないという想いや、簡単に諦めない不屈の精神が伝わってきますね。

和田京子不動産が打ち出した4つの差別化戦略


 ただ、想いや精神論だけで年商5億円を実現するのは無理な話です。

 彼女が成功した背景には、独自の差別化戦略がありました。

1)QUOカード名刺を配る


 なんと、和田京子不動産では、500円のQUOカードに顔写真や氏名、会社の連絡を印刷して名刺として使っています。

 これはインパクトがありますよね。

 名刺をもらっただけなのに、めちゃくちゃ嬉しいじゃないですか!

 当然、QUOカードの名刺がもらえるということで話題となり、クチコミにもつながりますよね。

 この手法は普通だと、経費がかかるので誰もやりたがりませんが、非常に優れたやり方だと思います。

 実は、過去に私自身も、QUOカードと同じく1枚500円する高級クリスタル名刺を使っていましたが、インパクトがあるのですぐに覚えてもらえました。

 紙の名刺と違って捨てるのに躊躇するので、ずっと持ち続けてもらえるんですよね。

 そういう事情もあり、私のところにも忘れた頃に依頼が来ていました(笑)

 安い名刺はいくらでもあるのですが、名刺=確実に受け取ってもらえる広告だと考えれば、1枚500円のぐらいのコストは安いもんです。

 こういったことに気付いて、差別化するために取り入れているところにビジネスのセンスのよさを感じます。

2)80歳を過ぎても年中無休24時間営業!


 和田京子不動産は不動産会社なのに、なんと年中無休24時間営業です。

 年齢とか関係ないとか言ったって、彼女は現在86歳を超えているんですよ。

 にも関わらず、肌身離さずにスマホを置いておいて、寝ているときも電話が鳴れば対応しているそうです。

 実際に、深夜にどのぐらいの電話がかかってくるのかわかりませんが、24時間営業しているというのは業界の中でも異色ですよね。

 ちなみに営業時間で差別化する場合は、
  • 長時間営業をする
  • 競合のやっていない時間帯に営業をする
 というのが鉄板メソッドなのですが、和田京子不動産はどちらの要件も満たしているわけです。

 年中無休24時間営業で見事にライバルに差をつけているわけです。

 ただ、御年が御年であるということ、また、彼女自身がテレビのインタビューで熟睡したいと言っているので心配ではあるのですが…

3)物件のデメリットをかならず伝える


 不動産会社の営業というと、物件の良いところばかりと言って悪いところを隠そうとするのが定番ですよね。

 実際に、彼女も過去にそういった不動産に騙されて、不良物件や欠陥住宅をつかまされてきました。

 しかし、自分のように住宅で失敗してもらいたくない!という想いから、和田京子不動産では物件のよいところだけでなく、デメリットの部分も漏れなく伝え、納得してもらったうえで住宅を購入してもらっています。

 結果、顧客満足度が高く、彼女の会社について良いクチコミが拡がるんですよね。

 物件のデメリットを言うということはなかなかできることではありませんが、ただでさえ不動産業は胡散臭い印象が強い業界です。

 公明正大、嘘をつかず、隠さず伝えることを宣言して、安心感を与えることが、大きな差別化になるわけです。

4)仲介手数料が無料という業界の禁じ手を打つ


 不動産売買の仕組みは、契約が成立した場合、仲介業者(和田京子不動産)、売り手と買い手の双方から仲介手数料として、物件価格の3.24%+6.48万円をもらえるよう、宅建業法で定められています。

 業界用語で「両手取引」と言うのですが、不動産業が儲かる秘訣は、ダブルで収入が得られる両手取引にあると言ってよいでしょう。

 ですが、ここは和田京子不動産さんです(笑)

 物件を探している買い手は、貯金やローンで買うため既に金銭負担が大きいので、少しでも負担を軽くしてあげるために、買い手からの手数料を無料にしているんです。

 普通の不動産会社であれば売上が半分になるので、買い手の手数料を無料にすることなんて絶対にしません。

 買い手の立場からすれば、どこで買っても値段は同じなので、手数料が無料の和田京子不動産で買いますよね。

 売上は半分になっても結果として集客できるので、最後には儲かるというわけです。

 これこそが、価格での差別化の極意と言えるでしょう。

全ての差別化戦略は、ただお客様のことだけを考えて生まれた


 4つの差別化戦略を見ていただいていかがだったでしょうか?

 全部シンプルで、言われれば「あぁなるほど」と思いますけれど、実践するのに和田さんがどれだけ苦労したことかと考えれば、本当に頭が上がらないですよね。

 そして、これらの戦略の根底にあるのはたった1つのコンセプトです。

 それは、住宅を買うときの失敗経験を踏まえて、お客さんのことだけを考えることです。

 お客さんのことだけ考えた結果、差別化戦略が生まれてきたわけです。

 ビジネスの原点となる「お客の立場で考える」を抜きにして戦略を考えることはできません。

 他社を打ち負かすという発想ではなく、他社よりもよりお客のために役立ちたい、という発想が勝利につながったのではないでしょうか。

 ぜひ、あなたのビジネスにも和田さんの教訓を活かしてほしいです。(執筆者:島倉大輔)

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