不動産経営最大のリスク「家賃滞納」から身を守る大家が意識する4つのこと

 不動産経営は「不労収入がある」「手間を掛けずに儲けられる」など、とかく美味しい話が持ち上がりやすい業種です。しかし、実際に長年、不動産経営をしてきた人間からすれば、そんな美味しい話はありません。特に、家賃滞納によるトラブルで破産する大家さんも多く、これを防ぐには4つの条件を必ず守る必要があります。

不動産経営の代表的なトラブル「家賃滞納」


 不動産経営の醍醐味は、なんと言っても毎月計算できる収入があること、運用がうまく行けば他人(金融機関)のお金を“てこ”に収入を大きくできることです。

 ただし、昨今起きた、レオパレス問題、かぼちゃの馬車問題などを見ていただければわかるように、自らのコントロールを離れた場所で、リスク対策も打たずに、お金がチャリンチャリンと入るなんて夢物語です。

 不労収入とは言われていますが、不動産経営を実践するなら、自らがリスク管理を行い、実業として成功させるノウハウを持っている必要があります。

 不動産経営のリスクといえば、代表的なのが家賃滞納による入居者とのトラブルです。

 僕自身もこれらの問題を解決しながら、複数棟で不動産投資を実施しています。

 そこで、僕が自社物件で家賃滞納が発生してから解決する際に守った4つの条件を、皆さんに共有させていただきたいと思います。

家賃滞納トラブルに対応する大家・4つの条件


普段からのキャッシュフロー管理が大事


 不動産経営は、別名「不動産賃貸業」と言います。つまり、不動産経営は通常のビジネスと同じ『業(なりわい)』です。

 僕の場合は、普段からキャッシュフロー管理はしてますので、1件の滞納くらいでキャッシュフローが困ることはまずありません。

 必ず、月別のキャッシュフローが黒字になるような投資を心がけましょう。そうすれば、滞納が発生しても落ち着いて対処出来ます。

 翻っていえば、キャッシュフローがコントロールできない、過剰投資は絶対にNGです。調子に乗ったところで、大抵の皆さんは潰れています。

投資家ならばお金に対し感情のコントロールを


 よく、お金のトラブルが起きると人間の本性が出ると言いますが、お金のことですぐ熱くなる人は不動産投資・経営には向かないと思います。

 そういう方へのアドバイスとして、僕は『お金に対して大人になりなさい。』と伝えています。

 お金に対する大人の対応とは、お金に対して抱く恐怖と欲望をコントロールすることです。

 金持ち父さんの本で、『まず経営者になってから、投資家を目指しなさい』と言ってますよね。

 これは、『お金に対する感情コントロールを、まずは経営者になって学びなさい。』ということです。

 ここで大事なことは、お金トラブルによって発生するトラブルに対して、決して『熱く』ならないことです。

 家賃滞納が発生した場合、法的には大家が有利です。ですから、まずは『自分の感情をコントロール』することが重要になります。

 これが、数字屋さん(俗に言うお金や不動産のプロ。先生と呼ばれる人たち。本人は投資で生計は立てられないけど。)と僕の違いです。

冷静になって最善を尽くす


 入居者さんの立場と管理業者の立場も考えながら、最善の判断を下すのが大家業だと思ってます。

 よく言う『win-win』、近江商人の『三方良し』を考えるのは、どんな業を経営していても同じこと。

  当然、自分も相手も人間ですから、感情があるということです。

 まぁ、トラブルなんて一定の確率であるので、『そういうことはあるもんだ。』と冷静になって、普段どおり最善を尽くせば大丈夫です。

リスクを避けるのではなく、リスクに対処できる能力を磨く


 ただ、リスクを下げるために、大きな保険をかけるのはナンセンスです。保険屋さんの餌食になってしまいます。

 そんな保険をかけていたら、必要以上に守りのお金がかかるので低利回りになってしまいます。

 リスクに対し、適切に守り、戦うところは戦って克服する能力を身につける。

 それはお金に対する感情のコントロールだったり、円滑なコミュニケーション力だったり、お金の管理能力だったり。

 当たり前のことばかりかもしれませんが、これら4つを徹底することが、長年に渡って家賃滞納トラブルから資産を守り、不動産経営を上手く行かせる条件です。(執筆者:山口 史)

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