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副業規定作成のポイントと注意点【2020年度版】

副業

ひと昔前の副業には会社に内緒でおこなうイメージがありましたが、現在は副業を解禁している企業が増え、堂々とおこなえるようになってきています。
とはいえ、まだ全面解禁に二の足を踏んでいる企業もあります。

とはいっても、まだ全面解禁に二の足を踏んでいる企業があるのも確かです。

・副業を解禁して本業に身が入らない社員がいたら困るな
・副業を禁止にしていたら、優秀な社員に退職されてしまうかもしれない

というように企業側としては悩ましい問題だからです。

この記事では、企業側、労働者側からみた副業のメリット・デメリットを挙げ、副業規定作成時のポイントと注意点について解説しています。この記事を参考にして貴社への副業導入を成功させて下さい。

副業解禁の背景

これまでタブーとされてきた副業を企業が許可するようになった背景には、政府の動きと社会情勢が大きく関わっています。

働き方改革の推進

2017年3月の働き方改革会議決定の内容を踏まえ、副業・兼業の推進を図ることとしました。

2018年1月には副業・兼業の促進に関するガイドラインを作成し、この年を『副業元年』として働き方の大きな変革を迎えたのです。

それまで、モデル就業規則の中には副業を禁止する文言がありましたが、2018年の改定で禁止の言葉を排除し、副業・兼業に関する項目を追加しています。

国が副業を推進したこ戸により、企業が副業を認めざるを得ない状況となりました。

参考サイト:厚生労働省『「働き方改革」の実現に向けて』より

終身雇用制度の崩壊

毎日新聞画像
トヨタ自動車が2021年春から定期昇給を完全成果型に変更する方針を固めたことが27日、明らかになった。一律に昇給する現在の制度を見直し、人事評価に応じて昇給額を決める。評価によっては定昇がゼロになることもある。
参考:毎日新聞『トヨタ、定期昇給を「一律」から「成果型」に 人事評価でゼロも』より

終身雇用制が当たり前だった日本ですが、不況が長く続きリストラや業務縮小を余儀なくされた企業が少なくありません。

グローバル化、合理化を進める中で雇用体制も変化せざるを得ない状況となりました。

これまで安定していた収入が減り、職を失う人も増える中で、ひとつの仕事だけでは生活が成り立たない労働者が増えるとともに、必要な人材を短時間でも望む企業の利害が一致した形になります。

職種の多様化

働き方の多様化だけではなく、少し前には考えられなかったような業種が増えてきています。

そのためより深い専門知識や高度な技術を要する仕事が増え、副業解禁により1人のプロが複数の企業でスキルを発揮することが可能になります。

これは業界の底上げになるだけではなく、社会全体の生産性向上にもつながります。

副業の実情

株式会社パーソル総合研究所の調査によると、正社員の副業率は全体の10.9%となっています。現在副業をしていないものの、副業の意思がある割合は41%と高い傾向にあります。

年齢では20代が最も副業に興味を持ち、年齢が上がるにつれ副業への意欲が少なくなっているのが特徴的です。

また、副業をする理由は、生活費や将来の備え、趣味のためなどの収入アップの理由が圧倒的で、スキルアップや人脈構築といったキャリア形成の目的は少なめになっています。

副業を許可していない企業もまだまだ多く、自分の会社が副業を認めているかわからないという社員もおり、副業を解禁する場合は社員への周知も課題となりそうです。

参考:パーソル総合研究所『副業の実態・意識調査

副業がもたらすメリット・デメリット

社員が副業をおこなう際に、双方にはメリットとデメリットがあります。これらを把握した上で副業解禁の是非を論じることが必要です。

労働者側

副業をするメリット

・収入が増える
・仕事をしながらスキルアップ、キャリア形成ができる
・興味のある分野、挑戦したいことにチャレンジできる
・起業、転職の準備ができる

労働者側のメリットとしては、やはり収入が増えることが一番です。

今年は特に新型コロナウィルスの影響を受け、テレワークや業務縮小による収入減、将来の不安などから、収入確保と同時に貯蓄も増やしておきたいと思う人は多いです。

今の仕事を続けて良いというのが前提のため、様々なチャレンジもしやすく、本業につながるスキル、人材、知識を得る機会にもなります。

副業をするデメリット

・体調管理が必要
・本業がおろそかになる可能性がある
・雇用保険などの適応を考える必要がある

複数の仕事をすることで、長時間勤務となる可能性があり、体調を崩す、本業に集中できない、疲れが取れないなどの影響が懸念されます。

また、労働時間によっては雇用保険の適応外になる場合もありますので、注意が必要です。

https://magazine.keysession.jp/schedule-for-the-side-business-era/

企業側

副業を許可するメリット

・望む人材の確保ができる
・社員のスキルアップが期待できる
・離職率を下げられる
・イノベーションをもたらすことができる

副業を持った社員が新しいスキルを身につけ、本業に還元してもらえることはとても喜ばしいことです。

また、社外から副業者を入れることにより、今までにはない切り口から情報や知識がもたらされ、新しいものを生み出すきっかけにもなります。

他のことにチャレンジをしようとした時、退職しなければできなかったことも、副業でできるのであれば、退職者を減らすことができます。

副業を許可するデメリット

・情報漏洩の可能性
・労働時間、健康管理が困難になる
・本業への影響

秘密保持や競業避止の義務の確保が難しくなるため、どう管理するかは副業解禁の前にしっかりと取り決めをおこなう必要があります。

副業の多くは本業後の時間や休日におこなうことが多いため、社員の健康管理等にも不安が残ります。

副業規定作成時のポイントと注意点

副業を推進するには副業規定を作成し、従業員に周知する必要があります。具体的にどのようなところがポイントになり、注意が必要なのか理解してから作成するようにしましょう。

副業に関するルールの明確化

誰にでもわかりやすいルール作りが必要です。

・副業を認める条件
・副業をする時の手続きの仕方
・副業規定に違反した場合の罰則について
・副業取り消しの条件
・副業者への社会保険の取り扱い

副業を全面解禁したとしても、本業は自社であることを自覚してもらうためにも、ルールは必要です。

トラブル防止のためにも副業を認める条件、副業先の条件なども明記しておくと良いでしょう。

労働時間の把握

副業先の労働時間まで管理する必要はありませんが、本業に支障が出ないようにしてもらわなくてはなりません。

1週間の副業にかける時間は5~10時間が一番多く、次いで3時間未満になっています。

長時間労働により体調を崩して本業も休職しなくてはいけないとならないように、従業員と話し合いながら労働時間の調整が必要です。

就業規定の変更と周知

副業規定を盛り込んだ就業規則に変更します。

雇用人数が10名を超える場合は、就業規定と同様に副業規定も労働基準監督署への届け出が必要になりますので、忘れずに提出してください。

従業員への周知は、誰でも見られるところに掲載する、社内メールにてお知らせする等、全員に行き渡るような方法でおこないます。

参考:厚生労働省『モデル就業規則 3.就業規則の作成及び変更の手続

副業解禁で企業も労働者も豊かに!

労働者が自分の能力や技術を活用できるように、健康で豊かな生活ができるように、そして企業の成長が促されるように、これからは副業するのが当たり前になる社会が訪れます。

企業も労働者も安心して副業ができる環境を整えるためにも、副業のルール作りをおこなっていきましょう。