2018年11月28日 07:39
インフレの芽を完全に摘む原油安
深刻な人手不足が続く中、企業の人件費負担は緩やかながらも着実に増大している。しかし、それでもインフレが加速する兆しは現われない。企業は値上げで顧客が逃げることを恐れ、省力化投資や低採算事業の縮小による生産性向上、低賃金の外国人労働の活用など、あらゆる手段を駆使して値上げを回避している。10月の全国の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合(CPIコア)が前年比1.0%、日本銀行が注視しているとされるエネルギーを除くCPIコアは0.4%と、いずれも9月と全く同じであった。日本社会に強固に根付いたゼロインフレ予想は、一向に解消される様子がない。
この先も景気拡大が続き、なおかつ円安や原油高が大きく進むのなら、流石にコスト吸収が限界に達し、人件費を上乗せした価格設定を行う企業も増えてくるだろう。しかし、現実には、円安は進まず、原油価格に至っては急落している。WTI先物は5月から10月半ばまで1バレル=70ドル前後で推移していたが、10月後半から急落し、足下では50ドル程度と20ドルほど水準が切り下がってしまった。CPIと原油市況の過去の関係を見ると、10ドルの原油安が0.1~0.2ポイントのCPIコアの押し下げに繋がっている。これを機械的に当て嵌めるなら、CPIコアは来年にかけて0.2ポイント程度、下振れする計算となる。
勿論、足下の原油安には、株価の調整やサウジ増産、イラン制裁適用除外の発表なども影響しており、これらの要因が消化されれば、多少は持ち直すのかもしれない。また、欧州や日本など資源輸入国の成長ペースが鈍った原因の一つは交易条件の悪化であり、原油安で交易条件が持ち直せば、これらの国々の成長が下支えされ、それが需要面から一段の原油安を食い止める一助ともなり得る。さらに原油安が続いた場合でも、これまで人件費などのコストを販売価格に転嫁できずに利益が削られてきた国内企業が、直ちに値下げに踏み切るとは限らない。従って、結果的にインフレはさほど下がらない、ということもあり得るが、とはいえ、原油高がインフレ加速の後押しとなることは望むべくもなくなった。日本経済の成長ペースが今年の始め頃から既に鈍っていることを鑑みると、インフレの加速が始まる前に、今次景気拡大局面が終わってしまう可能性がいよいよ高まっているようである。
この先も景気拡大が続き、なおかつ円安や原油高が大きく進むのなら、流石にコスト吸収が限界に達し、人件費を上乗せした価格設定を行う企業も増えてくるだろう。しかし、現実には、円安は進まず、原油価格に至っては急落している。WTI先物は5月から10月半ばまで1バレル=70ドル前後で推移していたが、10月後半から急落し、足下では50ドル程度と20ドルほど水準が切り下がってしまった。CPIと原油市況の過去の関係を見ると、10ドルの原油安が0.1~0.2ポイントのCPIコアの押し下げに繋がっている。これを機械的に当て嵌めるなら、CPIコアは来年にかけて0.2ポイント程度、下振れする計算となる。
勿論、足下の原油安には、株価の調整やサウジ増産、イラン制裁適用除外の発表なども影響しており、これらの要因が消化されれば、多少は持ち直すのかもしれない。また、欧州や日本など資源輸入国の成長ペースが鈍った原因の一つは交易条件の悪化であり、原油安で交易条件が持ち直せば、これらの国々の成長が下支えされ、それが需要面から一段の原油安を食い止める一助ともなり得る。さらに原油安が続いた場合でも、これまで人件費などのコストを販売価格に転嫁できずに利益が削られてきた国内企業が、直ちに値下げに踏み切るとは限らない。従って、結果的にインフレはさほど下がらない、ということもあり得るが、とはいえ、原油高がインフレ加速の後押しとなることは望むべくもなくなった。日本経済の成長ペースが今年の始め頃から既に鈍っていることを鑑みると、インフレの加速が始まる前に、今次景気拡大局面が終わってしまう可能性がいよいよ高まっているようである。
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